ラインナップ再編・SUBARUの現在地




クルマのCM

SUBARUのテレビCM(上掲)を視て、「個性とは何か?」と訝しい気分になった。クルマを使う家業でもなく、地方の自動車社会で居住しているわけでもない単なる「クルマ好き人」にとっては、乗るクルマの選択とは全て自分の内面で起きている現象に従っているに過ぎない。2000年代までは「自動車社会学」なるある種の人間性をクルマで判断して楽しむみたいなことを書いている本が山ほど出版されていた。小沢コージ、島田荘司、松任谷正隆など、クルマを通して現代人の内面を探るのが専門の作家・ライターもいたっけ・・・。

 

所有気分が高まらない問題

しかし今ではランボルギーニだろうがアウトビアンキだろうが、ネットですぐに情報を集めることができてしまう。多くの名車がクルマ好きにとっては「あるある」レベルで定番化しつつある。当然ながら所有する喜びはともかく、「所有してみようかな!?」という野心を抱く機会は限りなく激減している。そんな状況で「付加価値のあるクルマ」を売る自動車メーカーの苦労は想像して余りある。それにしても数ある日本メーカーの中でもエッジが効いているとされる「群馬」さんのCMだが、どこかデジャブ感が・・・なんだか西の方のメーカーのCMに被せてませんか!?




看板モデルが続々と撤退!?

WRX・STIの販売が終了し、BRZとレガシィB4も日本市場から姿を消すらしい(BRZは後継モデル有りとの情報)。北米販売比率がいよいよ80%を超えてしまったSUBARUはもはや日本市場では「アメ車」に近い。同じく「アメ車」のカムリやアコードがHV限定で日本で販売されているのに対して、レガシィB4は自然吸気で出力ロスが多くなりやすい縦置きエンジンで、しかも全車AWDが標準。国土の大部分が荒野でガソリンがバカ安い国向け仕様のまま日本で販売していた。

日本とアメリカの違い

確かにパワーシートやリアシートヒーターまで標準装備にするなど「フラッグシップ」を意識したわけだけど、日本のユーザーのクルマ選びなんて極めてテキトー。高級モデル=レクサス、メルセデス、BMW、アウディという単純思考。アメリカではSUBARUが品質と性能から「ハイクオリティカー」として選ばれていて、だいたい上記の4つの「プレミアムブランド」の合計と同じくらい売れている。レクサスGSや5シリーズ、Eクラスにはリアシートヒーターなんてオプションでも付かないけど・・・。




未練ナシ

レガシィB4の国内販売が終了は実に悲しいニュースなんだけど、SUBARUとしても「是が非でも日本でB4を!!」って気持ちがさらさらないからあっさり決断できるのだろう。ホンダが半ば意地でアコードを日本で売り続けるのとはちょっと対照的かもしれない。鼻で笑われるかもしれないが、セダンとは非常に理知的な人々のためのクルマだ。車種の多様化が進んでいるけども、30年前と変わることなく自動車メーカーは「フラッグシップ」に全てを託すクルマ作りを続けている。

 

わかってる人はフラッグシップを買う

クルマがよくわかっている人は、実際のところ車種選びに迷うなんてことはほとんどない。セダンのフラッグシップモデルかスポーツカーしか買わないから。アメリカ市場においてドイツ車信仰を大きく崩した「第一波」が2010年代初頭に行われたスモールオーバーラップと呼ばれるUSNCAPの衝突試験だ。メルセデス、アウディが全車「POOR」で壊滅した。そもそも被験車両の中で合格点が与えられたのが、キザシ(スズキ)、アコード、スカイラインと、MAZDAシャシーを使っていた時代のボルボS60だけだった。

まともなクルマとは!?

1000万円を軽く超えるような輸入ブランド車がどんな安全設計になっているかはわからないけども、現実的な価格で新車に乗れる量販車においては系列サプライヤーと一体となって開発を進める日本式インテグラル・アーキテクチャを使った「フラッグシップ」モデルのセダンだけが、ある程度はまともな安全性と乗り心地全般におけるクオリティが担保されたクルマだと言える。キザシに続いてレガシィB4まで日本市場から消えてしまう。次々と「まともな」選択肢が減っていくのは悲しいことだ。




レガシィB4が売れなかった理由・その1

WRX・STIは販売終了になったけども、少々ややこしいことにWRX・S4という別のフラッグシップセダンは販売が継続されている(なんで2つもフラッグシップセダンがあったの!?)。なかなかの力作だったはずの現行レガシィB4の国内販売が出足からほとんど振るわなかった最大の理由は、B4発売の半年ほど前に日本市場に登場して先進的なアイサイトver2と高性能エンジン&特別に設計されたAWDシステムまでが与えられ、スマッシュヒットを記録したWRX・STIがすでに次世代の「フラッグシップセダン」として鎮座していたからなのだろう。

 

5フラッグシップ並列

確かにユーザー側から見てもわかりづらい。SUBARUの一番良いクルマ(フラッグシップ)はどれなんだ!?って話である。価格面からでは全く判別不能だ。レガシィB4、アウトバック、WRX・S4、レヴォーグ2.0GT、BRZ・STI・・・実に5車種が「上質なクルマ」を求めるヤル気あるユーザーの前に並べられていたわけだ。さらに残念なことにそれぞれに魅力ある文句ナシの高性能モデルながらも、微妙に「一長一短」があったりする。メルセデスやレクサスならばこんなカオスな状況にはならないわけで・・・。




クルマの開発サイクル

国内ブランド・輸入ブランド問わず「フラッグシップ」を選んでおけば、それなりの満足度は得られる。最近じゃやたらとカーメディアからも「笑い者」にされている感があるBMWだってM5や7シリーズ買えばそりゃ満足感あります!!もちろん予算の問題もありますが、500万円以下で上質なクルマが欲しいとなれば、とりあえず日本メーカーが無難かなと思う。系列サプライヤーとタッグを組んで良質なシステムを開発し、それを真っ先にフラッグシップモデルに搭載・・・ってのが日本メーカーならどこでも当たり前のルーティンであるから。欧州メーカーは失礼だが開発力に疑問。パテント切れの他社システムを採用して「新開発」と言い張る度胸はスゲー・・・って思うが。

「うるうる」と「かさかさ」

同じ日本メーカーのフラッグシップでも、スカイライン、MAZDA6、CX-8など日産やMAZDAはそこそこ存在感を示しているのに・・・なぜSUBARUやHONDAはなかなか上手くいかないのか!? トヨタ・レクサス以外の日本メーカーをフラッグシップモデル周辺で大雑把にフィルタリングすると、「うるうる系」と「カサカサ系」に分けられる(あくまで大雑把です!!)。

うるうる・・・日産、MAZDA、スズキ、ダイハツ

カサカサ・・・HONDA、SUBARU、三菱、(BMW、メルセデス、VW)

うるうる系4社に共通するのは、やたらと「質感」にこだわった作り込みをすること。執行役員や主査には「神経質」な人が多いのだろうか!? 会議でしょっちゅう喧嘩してそう。クルマ作りはとことんマテリアル重視で、「秘伝の味」にプライド持っているから、「ト◯タの連中はクルマのこと何もわかってないよ」とか影で言ってるはず(あくまで想像です)。




優劣ではなく好みの問題

スカイラインやMAZDA6が好きという人は、そんな「うるうる系」メーカーの職人気質なこだわりに体のセンサーがすぐに反応してしまう人だと思う。そういう人が「かさかさ系」メーカーのフラッグシップに乗ると、ちょっと落ち着かない感じがするかもしれない。「うるうる系」より「かさかさ系」の方が全般的に「速い」。じわじわと駆動が伝わるよう作り込みをする「うるうる系」に対して、ドッカンと発進して刺々しいNVHを気にしない「かさかさ系」の方が加速性能が高くなるのは当たり前ではある。トレードオフの関係。

真逆のアプローチ!?

WRX・S4などもスペック通りに公道での法定速度内では、全くの底なしレベルな加速をするのだけど、その刹那に「フラッグシップ」が内示するような安定感だったり高級感だったりのメッキがちょっと禿げる感覚は否定できない。フル回転を実感させるようにエンジンやミッションから盛大で少々耳障りなシンフィニーが響き渡るのだけど、スカイラインのV6ハイブリッドや、MAZDA6の2.2Lディーゼルで見られる「掻き消す」執念とは・・・全く別の趣きではある。

レガシィB4が売れなかった理由・その2

レガシィB4の最大の難点は、コンセプト自体が「うるうる系」メーカーに適合したものであるってことなのかもしれない。SUBARUのフラッグシップサルーンとして日本市場は完全にWRX・S4を選んだ。もしレガシィB4のエクステリアとインテリアのハイレベルな標準装備が、そのまま日産やMAZDAから発売されれば一定以上の評価を得られたんじゃないか!?と思うと残念無念だ・・・。




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