階級社会と総中流社会
日本の野外イベントには、レクサスやアルファードが大挙して押し寄せてくる。人が集まるところに出向くクルマとしてトヨタの高級車は非常に高い評価を得ている。見栄えがする人気モデルだから出かけたくなる。一方でフランスではテレビ画面越しに見る限りだと、ツール・ド・フランスに、ゲレンデやレンジローバーで乗り付けてくるような人はほとんどいない。高級車に乗る上流階級が、全世界に放映される現場で馬鹿騒ぎをするわけにもいかないだろうが・・・。
ツール・ド・フランス観戦を兼ねてフランスを移動ながら一周するバカンスを楽しむ人も多いようだ。キャンピングカーや、車中泊に適したスライドドアの1BOXが沿道ではとにかく目立つ。なかなかの年式を誇るものも多く、あまり周囲の目は気にしない。さすがは個人主義のお国柄だ。日本だと「欧州車=ヒンジドア」のイメージが強いけども、欧州市場でもたくさんの貨物車需要はあるので、それらを供給しているVW、プジョー、ルノー、オペル、フィアットには複数のスライドドア車が用意されている。
日本で売れない欧州車
日本で正規販売されているのは、メルセデスVクラス、ルノー・カングー、プジョー・リヒターとその兄弟車(シトロエン・ベルランゴ、フィアット・ドブロ)くらいだけども、いずれのモデルも日本市場では人気も高く中古車相場も輸入車の中ではかなり堅調だ。トヨタ、日産、ホンダのミニバンがそこら中に走っていて、新車乗り出し価格はどんどん上昇していて、今では400万円前後になっているから、個性が出せる輸入ブランドのスライドドア車を買いたくなる気持ちもよくわかる。
それとは逆に、高い金額を払って輸入ブランド車を買うならば、ポルシェ、BMW、アルファロメオといったスポーティで憧れが強いブランドを選びたくなるという人ももちろんいる。クルマ好きの多くはこのタイプだろう。なんで低スペックなミニバンに輸入車価格を払えるのか!?全く不思議でならない。輸入ブランドのインポーターもクルマ好きな人が多いから、スライドドア車の導入には慎重になるだろう。