GA-K(後輪マルチリンク)
現状では3番目のプラットフォームであるが、まもなく上の2つが消滅するので実質的に、このGA-K(後輪マルチリンク)が、トヨタとレクサスのフラッグシップモデルのベースとなる。現行の採用モデルは、セダンを除くクラウンシリーズ、センチュリーSUV、レクサスRXで、いずれも王道の高級車である。すでに他メーカーの主力モデルの多くがこの設計に行き着いていて、アコード、シビック、ZR-V、エクストレイル、アリア、エルグランド、CX-5といった、走行安定性と衝突安全性に定評があるブランドの上級モデルに採用されている。
ドイツブランド車と遜色ないレベルの走りで、高速道路や高規格道路でも安心して使えるグローバル水準の高級車を作る設計として、トヨタ、ホンダ、日産、MAZDAの日本4大メーカーで意見が一致している。ユーザー目線だと、静かな車内と快適なシートのおかげで、夜間の交通量の少ない道路を、路面に吸い付くスポーツカーのような加速で駆け抜け、昼間の渋滞局面でも静かに音楽を聴く時間と割り切ってずっと乗っていたい気分にしてくれる。メーカー同士でライバルを意識していて、どのモデルも空調、シートヒーター、音響などインテリアにとても力が入っている。
世界的なSUV人気の中で、それぞれを代表するレクサスRX、ZR-V、エクストレイル、CX-5は、欧州、北米、日本、中国、豪州など主要市場の全てに投入済みだ(エクストレイルは地域で名称が変わる)。車両価格が高いこれら5つの地域全てで販売されているモデルは、世界的に見ても他にはドイツのBMW、メルセデス、アウディ、ポルシェ、VWくらいなものだ。BYDやテスラがオールド・メーカーを一蹴する勢いだと報道されるが、現実にはオールド・メーカーの代表と言える日本勢とドイツ勢が支配的だ。
CX-60/ 70登場で、CX-5を廃止するつもりだったMAZDAが、北米でのCX-50(CX-5と同じ設計)の売れ行きを見て、この設計を捨ててはいけないと悟ったようだ。一方でトヨタもレクサスRXに、クラウンの3車種とセンチュリーSUVを追加した。全車HEVのクラウンシリーズは輸出され、いよいよ北米市場をHEV市場へとすべく大刷新を仕掛けている。ZR-V、CR-Vのホンダ勢もHEV化されていて、日産も新型ローグ(アウトランダーPHEVのOEM)が2026年に投入され、MAZDAもCX-5、CX-50を2027年にHEV化する。この4社連合の世界シェアはさらに伸びるだろうか!?