GA-C(後輪ダブルウィッシュボーン)
カローラ(カローラクロス除く)、プリウス、レクサスUXに使われる。高速道路を安全に巡航できるモデルとしては最小(燃費が良い)かつ最廉価を実現していて、オールラウンドで使える実用車を作って価格競争をするという意味で戦略的なプラットフォームだ。必要最小限のサイズ感は、ヒエラルキー(見栄階層)を考慮しなければ、最も賢い選択かもしれない。5年ほど前に実家の買い替えを相談されて、母や妹のわがままを全部聞いたら、カローラツーリングの1択となった。
このシャシーより上位のものは、移動手段としてのクルマ保有にはちょっと費用がかかる。またこれより下位のシャシーは、高速道路で使わないという条件が入ってくる。同クラスにはシビック(後マルチリンク)、MAZDA3(後トーションビーム)、VWゴルフ(後マルチリンク)、アウディA3(後マルチリンク)といったクルマの歴史を作ってきた偉大なシリーズが並ぶ。日米欧のどの市場でも導入できる汎用性はあるものの、これらの「ガチ勢」が強すぎて多くのメーカーは主力市場(北米など)から撤退している。
トヨタも2001年に発売したカローラ・ランクスより本格参入し、その際に日本仕様はトーションビームのままで、欧州仕様だけ後輪DWBを採用したのがこの設計のルーツと言える。前述のようにライバルのあまりの強さゆえにトヨタらしからぬタフな走りの設計が施され、現行の北米仕様カローラではホンダに対抗する新設計ダイナミックフォースエンジンと、MAZDAをリスペクトしたと明言されているGL-Cプラットフォームで武装を整えた上で、他社に威圧的なほどの市場の最安値で投入している。
BセグメントのLBXより安い価格に設定されているレクサスUXも戦略価格と言える。同じくアウディA3もこれだけ円安が続いているのに本体価格が400万円を下回っているグレードがある。欧州EVシフトで、CセグのICEツアラーは販売こそ減少しているが、高速道路で移動したいという人がいる限りは一定の需要は今後も続くと思われる。このジャンルがどう推移していくか、トヨタが次にどこのメーカーの技術を真似するのかなど、さまざまな点で興味深い。