GA-B
ゆったり安定感ある高級車の走りとは程遠いし、車体も軽量で高速道路の走行にも向かない。軽自動車が普及している日本市場でBセグメント普通車の存在意義は見出しにくい。トヨタにはダイハツから軽自動車とBセグ普通車が供給されているにも関わらず、トヨタ開発のBセグ車はラインナップが縮小される気配はない。見栄でクルマを選ぶ人が多い日本では廉価車向けシャシーと思われているが、トヨタの実力を最も示した最強シャシーかもしれない。
TNGA(トヨタ・ニューグローバルアーキテクチャー)で、最初に世界的な評価を得たのが、このGA-Bで現行ヤリスが2021年に欧州COTYに輝いている。欧州好きなMAZDAが過去1度も獲ったことがない憧れのタイトルだが、歴代の欧州ヤリスは2回受賞している。煩いMAZDAユーザーを黙らせるには、GA-Bが最も効果的だ。「BMWやMAZDAのような走りガチのメーカーは選ばれない」とか負け惜しみを言うだろうけど、2004年に初代アクセラが2位を記録している。
レクサスLBX、ヤリス、アクア、ヤリスクロス、シエンタの5車種だけで構成される。いずれもシンプルでクルマの原点に立ち返った機能性重視の設計で、トヨタが国内市場で主導権を保持する原動力になっている。アクアのビッグマイナーチェンジが行われ、5車種ともに非常にスタイリッシュな外観デザインが印象的だ。モード燃費もLBX27km/L、ヤリス35km/L、アクア33km/L、ヤリスクロス30km/L、シエンタ28km/Lで、トヨタのセルフイメージである「エコドライブ」を体現しているのも、実際のところこの5台だけだ。
高速道路では使い物にならないけども、軽量な小型車にはクルマが本来持っている「幸福」がある。120psのダイナミックフォースエンジンで車重990kgという魅力的なパワーウエイトレシオで、MT車が169万円から購入できる。スポーツカー(GR86、GRヤリス、GRカローラ)を除けば、トヨタで唯一のMT装備車となった。クラウンとヤリス(MT)の2台持ちをしてもMTのダイレクトで軽快な走りはクラウンの陰に霞むことはないだろう。
後記
最後までお読みいただきありがとうございます。この投稿は2025年12月3日時点での情報をもとに記述しています。今後とも日本市場で展開する自動車メーカーについて思うところを綴っていきたいと思います。