自動車って何を買えばいいの!?そんな繊細な悩みを持つ人への一発回答は「グランドツアラー・・・一択」なんじゃないかと思う。SUV、ミニバン、プチバンなどの「ファミリーカー」も、セダン、ワゴン、スポーツカーなどの「古典的ボデータイプ」もなんか違うんだよな〜・・・そんな気持ちはよーくわかります。GTカーって聞くだけでメチャクチャお金がかかるイメージしかないわけですが、そんな「恐怖症」を実際にGTカーを知ることで克服して、他の人とは違うカーライフを獲得すれば悩みは解決するはず。参考までにポピュラーなGTカーを10台ほど選んでみました。(2020年4月11日)
1、ジャガーFタイプ
新車価格827万円〜 / 中古車価格440万円〜(2013年製)
2013年に発売された英国メーカー・JAGUARの王道グランドツアラー。2000年頃から欧州メーカーでは過去の名車をリメイクした新型モデル作りがブームになっていて、ジャガーへのグランドツアラーの原型とされる「Eタイプ」の復刻が期待に応えたものらしい。Eタイプは20世紀ベストデザインに何度も選ばれたことがある名車中の名車。そんなプレッシャーの中で見事にWCOTYのデザイン賞を受賞した。この年のファイナリスト3台のレベルはえげつなく高く、アストンマーティン・ヴァンキッシュとマツダ・アテンザ(3代目)を倒しての受賞は非常に価値がある。
2、BMW・M5
新車価格1774万円〜 / 中古車価格132万円〜(2006年製2世代前)
1972年に設立されたBMWモータースポーツ社が、1985年に「M5」と「M3」を発売。2006年以降から多くのMモデルが発売されているが、1980年代90年代は、このわずか2車種が世界の高性能サルーンを代表する存在だった。今でこそサーキットモデルさながらのエアロ形状を持ったスーパースポーツの運動性能に対して4ドア3BOXボデーで太刀打ちするのは不可能だけど、90年代まではフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェでも300km/h巡行は難しかったので、BMWのM5こそがアウトバーン最速だったとかいう「伝説」を持つ(らしい)。
3、日産GT-R
新車価格1082万円〜 / 中古車価格374万円〜(2008年製)
2007年に発売された夢の国産グランドツアラー(スーパースポーツ級)。ドラッグカー並みの加速性能を武器に、ニュルTTで911ターボに圧倒的な戦闘力を見せつけ、さらにBMW・M5をも超える高速巡行性能を実現。2007年を境に世界のスポーツカー市場は様変わりした。このクルマの登場により、ややマンネリ感があった三菱ランサーエヴォリューションとスバルWRXは淘汰されるようになり、バブル期には絶対的な存在ですらあった「AMGモデル」や「Mモデル」などの別格のドイツ車よりも、高く評価され価値が認められる日本生産車が現行モデルとして存在する、2007年以前には考えられなかった「新時代」に突入した。
4、フォード・マスタング
新車価格690万円〜(並行輸入) / 中古車価格82万円〜(2006年製先代モデル)
2014年に7代目にフルモデルチェンジし、初代(1964)から半世紀以上の歴史をつなぐアメリカ車の象徴的存在(らしい)。アメリカではこの美しいGTカーの新車が26,670米ドルで買える(羨ましい限りだ)。アメリカ生産車で可能ならば、日本生産車でも同様に実現可能な気がする。発売から相当な時間が経過しているけども、今も海外メディアでは「インスタ映えするクルマ1位」などに選ばれていてデザインは秀逸。アメリカでは「マスタング・マッハE」というクロスオーバー化されたEV版もすでに43,895米ドルで発売されている。2台まとめて日本に正規導入してはどーですか!?
5、メルセデスAMG・GT
新車価格1198万円〜 / 中古車価格780万円〜(2015年製・2ドアV8)
2015年に発売されたメルセデスAMG専用車種「GT」ですが、メチャクチャ高価そうなクルマだけど、案外に価格設定はジャガー並みで、割と広い層のユーザーに受け入れられて「趣味のクルマ」の定番車になりたいという野心が伺える。ちなみにV8搭載の2ドア(2シーター)がオリジナルで1600万円〜。1198万円はそのあとに追加された直4で4ドアクーペの価格です。こちらもAWDでミッションに電動モーターが付くタイプの最新バージョン。先進性という意味で直4ISGモデル(1198万円)という選択もいいのでは!?
6、ポルシェ911
新車価格1359万円〜 / 中古車価格155万円〜(2001年製二世代前)
2019年に8世代目の992型へと移行したドイツの大定番GTカー。1960年代に生まれたスポーツモデルを、途絶えることなくサーキットTTとストリートを両方見据えてストイックに開発し続けたという「伝統」によってやや過大評価されている部分もあるだろうけど、それが大好きなのがドイツの国民性なんだと思う。同じようにジャガー、シボレー、マツダも評価されている。そしてもう一つの特徴が「ハードアッタッチメント」で、ユーザーが高度な感性とドライビングの知識を要求されるとことがこのクルマの最大の魅力。日本車やメルセデス、BMWに慣れきった感覚だと、ステアリングもブレーキもまともに扱えない可能性が・・・。
7、アストンマーティン・DB11
新車価格2362万円〜 / 中古車価格1650万円〜(2017年製)
グランドツアラーといえばやはり英国ブランド。その中で特に高級GTカーに特化したブランドとして現在も続いているアストンマーティンの主力モデル。実車はとても小振りで全長が4750mmがあるようには見えないのだけど、それはスカイラインやBMW3シリーズなどスポーツセダンなる「亜種」を基準に見てるからなのだろう。最新鋭モデルだけども、その小振りなボデーのおかげでとても繊細でクラシカルな佇まいだ。GTクラシックカーに憧れるけどちょっと面倒だと思う人にとても合っている。
8、ロータス・エヴォーラ
新車価格1281万円〜 / 中古車価格378万円(2011年製)
サーキット向けのバスタブフレームに後部座席を付けて、ミッドシップにはV6ターボ(3.5Lトヨタ製)という変わり種。テスラ・ロードスターにシャシーを提供した実績もあり、決して英国コーチビルダーの延長ではなく、エンジニアリング・サプライヤーとしての「裏の顔」でとうとう数年前に黒字化を達成というニュースが流れた。20年にもわたるトヨタとのエンジン供給関係もあり、スポーツカー専売ブランドとしては信頼性も高い(壊れにくい)。数あるGTカーの中でもポルシェ911と並ぶ個性的な設計であることに加え、特筆すべきはトヨタ製のスーパーチャージャーエンジンの最高出力406ps/7000rpm、41.8kgf・m/7000rpmが過給ユニットとしてはポルシェ、ホンダの最高出力域6500rpmを超える高回転ユニットなこと。さすがにフェラーリの8000rpm級とまではいかないけど、これで新車価格1281万円ならば破格と言ってもいいかも。
9、アウディTT
新車価格448万円〜 / 中古車価格20万円〜(2003年製2世代前)
2015年に三代目モデルが発売。1998年に初代がセンセーションなデビュー。当時はFF横置きのGTカー(っぽい見た目のクルマ)はインテグラやセリカなど日本メーカーで当たり前にラインナップされていたけども、多数あるどの既存デザインに被ることなく「異次元」なデザインで世界的なスマッシュヒットを遂げた。ベースモデルはゴルフGTIと同等のユニットを使い、低重心、ワイドトレッドでホイールベースは短縮。GTIのさりげないドライブフィールの気持ちよさを経験している人なら、このTTがどれだけGTカー適性があるかよくわかるはず。ただし欧州GTカーらしい癖(ハードアタッチメント)を求める人にはちょっと物足りないかもしれない。いずれにせよ横置きFFとしては最強レベルの完成度を誇るGTカーであることは間違いない(シビックtypeR、ゴルフR、メガーヌRSはサーキットTTモデルに過ぎない)。
10、レクサスLC
新車価格1326万円〜 / 中古車価格759万円〜(2017年製)
電動GTカーといえば2013年にBMWi8が登場し、トヨタ(レクサス)とホンダ(アキュラ)がこれに追従して、2代目NSX(2016~)とこのレクサスLC(2017~)が相次いで発売されたが、NSXは圧倒的な運動性能を誇示すべくサーキットTTモデルとして開発されたのに対し、レクサスLCは先行するBMWi8のコンセプトを上手く真似た。電動GTカーの最大の魅力は・・・市街地などで無意味に爆音で走ることがないこと。スマートに走れるHV版と、477ps / 7100rpmが楽しめるトヨタ自慢のV8NA(5L)のどちらにすべきか究極の選択を強いられるのがユーザーにとってはモヤモヤするかも。エモーショナルなエクステリアと、リッチなインテリアに甲乙つけがたいユニットが選べて1326万円〜は決してボッタクリではない。スープラの新車価格で中古LCが買えるってところも悩ましい。