実用車ユニットの変遷
日本向けカローラから1.2Lターボエンジンが消えた。MAZDAも段階的にディーゼルから撤退し、新しい主力パワーユニットの選定をしている。欧州市場がエコを模索する迷走の中で、「小排気量ターボ」と「ディーゼル」が乗用車エンジンの主役になった。その動きを推進したのは、欧州最大勢力のVWグループであり、PSA(現ステランティス)、ルノー、欧州フォードも追従した。
欧州市場でそれなりのシェアを持つトヨタ、MAZDAも「郷に入れば郷に従う」のように欧州ルールのユニットを用意し、日本市場向けにもそれらのユニットが入ってきた。しかしVWやBMWの不祥事が米国で問題となる。ディーゼルだけでなく、日本の研究所ではVWの1.2Lの直噴ターボがトヨタの1.3Lポート噴射自然吸気ユニットの10倍ものNOxやPMを出すことまで暴露される。
暴かれる不始末
某日本メーカーのエンジン開発を担当する研究者が緊急で著書を発表した。小排気量ターボを高く評価する当時のカーメディアのアホさにキレたようだ(今もわかってない連中がたくさんいるようだが)。1500kg前後の車重があるクルマに搭載された1Lや1.2Lクラスのターボエンジンでは、ストップ&ゴーが多く山国の日本では高い負荷がかかる状況では深刻な問題が起きることを指摘している。この日本メーカーでは80年代の基礎研究の段階で小排気量ターボは軽自動車のみ有効だと判断したらしい。
トヨタ、ホンダはグローバル向けにCセグでも小排気量ターボを採用しているが、これは平坦でストップ&ゴーがそれほど多くない地域では一定の効果があるらしい。日本向けカローラは先日まで1.2Lターボを用意していたが、とうとう廃止された。トヨタのコンプライアンス的にリスクが高くなってきたと判断したのだろう。