大人のスポーツカーへ
中古車価格で判断すれば996系や997系は、一般人にも現実的なローン無し現金一括で買えそうである。それに対してターボ化が進み、古くからのファンからは批判も多くなっていた991系や992系の中古車価格は底堅い動きをしている。トヨタの指南通りに、ボクスターと部品を共有したために価格が抑えられていた996系とそれに続く997系には、まだ高級スポーツカーとは言い切れない「素朴」な面があった。
991系へとFMCを果たした2011年になると、ベースモデルの価格が1000万円を超えるようになり、「なんだか立派になり過ぎたな・・・」と残念そうな意見もよく聞かれた。「911とMAZDAロードスターだけ乗ればいい」と有名ライターが豪語していたのもこの時代までのようだ。997系とNCロードスターこそがピュアスポーツだそうだ。
ブランドの時代
2007年のGT-Rの登場で911の開発も大きな影響を受けたことだろう。この頃の日産のマーケティングは非常に優秀で、高級スポーツカーだけでなくジュークをいち早く発売し小型SUVブームを欧州市場で巻き起こした。日産の動きに敏感に反応したのはポルシェだけでなく、数々の欧州の名門ブランドがこれを契機に次々と息を吹き返していく。
マセラティ・グランツーリズモ、ジャガーFタイプ、アストンマーティン・ヴァンテージなどの911のライバルになる価格帯(700〜1500万円)に、高級仕様のスポーツカー、グランドツアラーが新型モデルとして続々と登場した。いくら中国市場の成長が見込まれていても、これだけの新型スポーツカーが参戦すれば、当然のことながら過当競争となり、そこにリーマンショックが襲いかかる地獄絵図となる。