トヨタのユーザーが変わった
メルセデスはAクラスに設定したハイエンドモデル「A45AMG」の販売開始後から、日本市場の輸入ブランドでトップになるなど成長を遂げている。上級モデルよりも低価格に抑えられ、発売当初は700万円でAMGの新車が買えることで、かなり好調なセールスを記録した。価格面だけでなく、小型なモデルゆえに加速性能などの価値を実感しやすく、AWDの安定した走行や、横置きFFベースゆえのブレーキング性能など非常に完成度が高いモデルだった。
メルセデスを模倣するかのように、GRヤリスを投入することで、従来は顧客になりにくい高性能モデルを求めるユーザーをトヨタブランドへ注目させることに成功した。メルセデスもトヨタも従来は「落ち着いた人向け」の印象が強過ぎるブランドであった。そんなトヨタが、クルマ好きなサラリーマンでもなんとか工面できそうな価格帯に抑えつつも、ボデーもエンジンも専用設計でエゴを押し通したスポーツモデルを作ってきたのだから、相当なアンチ・トヨタな人でも無視できないクルマだと思う。
トヨタ本気のグレード追加
GRヤリスは当初はトヨタが定期的に発表する「非営利の単発スポーツモデル」だと思われたが、予想以上のユーザーの反響を受けてか、当初の計画通りなのか不明だけども、1.6Lの直3ターボ304psエンジンに8ATを組み合わせた2ペダルモデルが追加された。わざわざGRヤリスのため(GRカローラにも転用可能?)に、トルク容量の多い高級車向けトルコンATを1.6Lターボエンジンにマッチングさせている。
MT車と比べて8AT車は35万円高くて価格差がかなり大きいけども、マッチングにかかる費用を、それほど多くない台数に賦課した結果と考えれば理解ができる。すでにニーズが一巡しているGRヤリスなので、爆発的な販売増とはならないだろうから、もしかしらたGRカローラへの搭載や新型の1.6L直3ターボを積んだスポーツモデルが出るかもしれない。某大手カーメディアが以前から報じているセリカ(GRカローラのシャシーにプリウスのボデー?)、MR-S(ミッドシップ&オープン)の現実味を帯びてきた。