MAZDA第七世代の始まり
2019年に登場したCX-30は、三代目アクセラの後継モデルとして新規シャシーで開発された現行MAZDA3の派生モデルで、トヨタ風に区分すれば「MAZDA3・クロス」で同じ車種にできてしまう立ち位置だ。ラインナップが多いトヨタは車名を減らしたいし、逆に少ないMAZDAは車名を増やしたいという理由だろうけど、この2つのシリーズを比べると、MAZDAとトヨタの設計に対する考え方がわかって面白い。
トヨタ伝統のカローラは、クラウンと同じく4車種を単位とする編成に改変され、セダン、ツーリング、スポーツ、クロスの現行4種と、先代から継続のアクシオ、フィールダーも合わせて「カローラ」として販売台数をカウントしている。累計5000万台を超えるレジェンドシリーズが積み上げた数字を、未来永劫に塗り替えられないくらいの記録にまで伸ばしたいようだ。先代の2種を除く、4種のボデータイプでは、全てホイールベースが2640mmとなっていて、各社のCセグの中では、どれを選んでも誰にでも使いやすい小回りの効くサイズになっている。
丁寧な作り分け
一方で、MAZDA3のセダンとファストバックのホイールベースは、他社よりも長めで2725mmもとられている。カローラよりも運転席をホイールベースの中心に寄せて、最適なペダルレイアウトを作るために運転席の前方の足元空間に余裕を持たせている。MAZDA3は直進安定性に優れ、長距離ツアラーとしての適性を重視しているが、小回りはカローラの方が効くようだ。そんなMAZDA3を少しだけカローラ方向に寄せて、使いやすいファミリーカー志向に設計したものがCX-30だ。
MAZDA3より車高が高くなり、キャビン空間におけるシートレイアウトに余裕が生まれるので、MAZDA3と比べて狭さを感じないままにホイールベースを2655mmまで詰めたとメーカーは説明している。TNGA設計のトヨタはホイールベースが同じまま使用されるが、MQB設計のVWではCセグは2620〜2680mmの間で車種ごとに柔軟に設定される。トヨタやVWよりも明らかに規模で劣るMAZDAは主導権を持っている相手を十分に研究した上で差別化を図っている。