ちょっと失礼かもしれないですが、日本メーカー各社はどうも『煮詰まっている』ように感じます。既存ユーザーの乗り換え需要を拾い上げるためのFMCは定期的に行っていて、その度に話題づくりとして『世界初』が付くような新機軸を盛り込んでくるのが定番の『企画』になっています。これがドイツメーカーへも急速に広まっていて、VWやBMWなども、『スマホ連動モジュール』だとか『自動運転フェーズ』だとか、盛んに打ち出していて、特に日独メーカーのクルマを指して、『家電化』が進んでいると囁かれます。
全米での販売台数ではフォードはまだまだテスラの50倍の販売台数を誇っているにも関わらず、時価総額でテスラに抜かれたことが報道されました。それに引き続きフォードCEOのマーク=フィールズが辞任するなど、自動車メーカーの既存勢力にとっては、実態の掴めない『恐怖』に怯えた経営が続いています。さらにテスラがいち早く自動運転を実用化し、不幸な事故が起こったことで、結果的により先進的なメーカーであることが広く世界に知れ渡ることになり、『自動運転&電動化』の取り組み&プレスリリースが活発になってきました。
面白いことにテスラ自体が『売り』にしていて、そのユーザーにウケている要素は、『自動運転』というよりもむしろもっとクルマの本質的な機能である『圧倒的な加速性能』と『上質な乗り心地』だったりします。それは『パッカード』や『スチュードベーカー』(アメリカの過去の高級ブランド)が持っていた『価値」をEVで復活させたみたいなものなのですが、日独の既存勢力にとっては、テスラから受け取る『未来のクルマ』のイメージが『家電化』になっちゃうんですかね。『自動運転』や『家電的機能』の充実に囚われ過ぎている日独の既存メーカーは、クルマの基本設計(『走り』)に関してはやや消極的な姿勢が目立ちます。テスラによって『何』が脅かされているのかを、正確につかめていないんじゃないのか? その『ノロマさ』を突いてテスラが成長してます。ただし三菱だけはすでに『テスラの本質』をかなり前から見抜いていたんじゃないか?と思う節があります(アウトランダーPHEV)。
2011年はトヨタによる『ハイブリッド拡販元年』で、アクアとカムリHVが予想を超えるヒットを記録しました。その後トヨタはHVを全ての上級モデルで導入する戦略を採り、ホンダは軽自動車へ復帰して大暴れをみせ、マツダはこれ見よがしに『欧州的』デザインの解釈に挑み新たなユーザーを獲得しました。あらかじめ『テーマ』が決まっていて、それに向かって突っ走る推進力は、日本メーカーが世界でも断トツなんでしょうけども、誰も走っていないレールの無い『荒野』を進むのは、とても『苦手』みたいです。もちろん『日産ジューク』や『ホンダS660』の独創性はお見事なんですけども・・・。
そんな中で『スズキ・イグニス』は、ジューク、S660に続く、最近の日本車には珍しい『クリエイティビティ』を示す『名車』になってます。ちょっと厳しく評価すると、スズキにとってインド&東欧市場でライバル関係にあるフィアットのパンダのコンセプトを拝借しています。特にボデーサイズやクロスオーバー仕様(パンダクロス)、それからポップな内装に至るまで、大きく影響を受けているのは間違いなさそうです。日本仕様は相当な戦略判断の末の決断でしょうけども、マイルドHVのみの展開となりました。モーターの小型化が進んで、マイルドHVならば車重920kgに収まる。しかもAセグのマイクロ仕様なので、フルHVによるEV走行を可能にするメリットがほとんど無いです。世間ではどう捉えられているかわかりませんけども、アクア、フィットHV、ノートe-POWER、デミオXDと並ぶくらいに『小型車の理想』を追求したバランスの良いモデルだと言えます。
フィアット級に洗練されておしゃれなボデーに、トヨタ&ホンダ級に優れた経済性を持ち、マツダ&スズキのドライバビリティの良さを併せ持つ、コンパクト/マイクロカーの『傑作』と言っても過大評価では無いです。これでは新型スイフトの販売台数が伸びないのも無理ないですねー。スイフトを真ん中に、小さいイグニスと大きいバレーノと、SUV版のエスクードと細分化が進みました。イグニス→パンダ、スイフト→デミオ、バレーノ→ポロ、エスクード→ヴェゼル。錚々たる小型車の実力派メーカーをベンチマークしてる!?
ホンダの伊東孝紳・元社長が『小型車の可能性』をしっかりと展望していたように、日独伊のメーカーが牽引してコンパクト/マイクロカーの発展が続いています。伊東元社長のように高学歴で一流メーカーでエリート街道を歩んできたような人材にとっては『小型車の可能性』などは、もう当たり前過ぎな話なんだと思います。スバルやマツダと言った二流は『小型車市場』を軽視しているようですが、日本の一流メーカーは小型車に軸足を置き続けています。ホンダは小型車(軽自動車)を日本で爆発的に広めつつも、インプレッサやアクセラのアメリカ進出をシビックで完全にシャットアウトしました。今度は日本でインプとアクセラのシェアを狩るみたいですねー。さすがは一流です。
小型車市場はグローバルでメーカーがひしめいています。ここで劇的にシェアを奪うためには、『まとも』ではダメで、『ブレークスルー』を引き起こせる『天才』『奇才』の類いが必要です。ホンダの軽自動車戦略は『高品質』と軽自動車のイメージを覆す『走りそうなデザイン』のトータルなコンセプトがこれまでの軽自動車に不満だ層に爆発的に火をつけました。憎きトヨタ傘下のダイハツに徹底的に打撃を与えたばかりか、『ワゴンRとムーブ』の二強時代を終わらせました(ワゴンRもムーブもFMCで復活を果たしつつあるが・・・)。
小型車市場で勝つための『方程式』・・・ユーザーの意識を変えること。高級車では過去の偉大なモデルのイメージをうまく引き継ぐことが大事だったりするわけですが、小型車ではとにかくイメージの転換が大事です。イグニスもフロンテやエスクードなどのかつてのスズキの名車のデザインをちりばめてはいますが、トータルで見ると『全く新しい小型車』が完成しています。都内の一等地の広い庭のある邸宅にちょこんと置いてあっても違和感がないほどに洗練されたデザイン。
私自身の感覚で恐縮ですが、ゴルフ/ポロ、Aクラス、1シリーズ、アクセラ/デミオ、C-HR、ヴェゼル/フィットなどの『無粋』なスモールカーよりも、よっぽど世田谷区成城や杉並区久我山に似合うんじゃないですか? 三大デザインコンパクト『MINI』『フィアット500』『イグニス』として讃えられても良さそう。他にも『パンダ』『ザ・ビートル』『トゥインゴ』『カングー』『DS3』などありますけども、日本車がいよいよこれらのハイセンスな『デザイナーカー』の仲間入りを果たしたのは素晴らしい!! これはマツダRX7FD3S以来の快挙じゃないでしょうか!?
↓海外メディアの扱いも『デザイン面』を強調しております!!
nk
SUZUKIは日本が世界に誇る素晴らしいメーカーだと思います。
スズキイグニスは生まれながらの名車だと思いますね。
wpmaster
このクルマいいですよねー!!
先日見かけたシルバーのエアロ付きの個体が、
発色もよくてとてもクールでした。