永久保存版のMFI。

モーターファンイラストレーティッド(MFI)、自動車工学、オートメカニック・・・クルマの本質的な価値を理解したいならこの3冊を読むといいんじゃないか?と思ってます。ただしBMWが好き!とか言ってるピュア過ぎるオッサンには刺激が強過ぎるかもしれないですけどね。カーグラフィック(CG)、モーターマガジン、ルボラン、カー&ドライバー、ニューモデルマガジンX、ベストカー、カートップ、ドライバーといった雑誌はクルマについて書いているのではなく、日本人がクルマに持つ文化・コンプレックスを古典的な手法で解説する「オヤジ文化雑誌」に過ぎないです(時計、万年筆、シングルモルトなどを語る雑誌と変わらん)。それに対して冒頭の3雑誌はまったく洒落っけがなく、淡々とクルマの本質について伝えてくれます。

CGが、動力性能的には平凡に成り下がったメルセデスやBMWを必死で持ち上げてレクサスよりも上位に評価しているのに、MFIはそれを全て台無しにしてしまうかのように、各メーカーの最新製品群がどのレベルのエンジニアリングで成立しているかを白日の元に晒してくれます。実際のところメルセデス、BMW、アウディ、ジャガー、ボルボ・・・仮にちょっと興味があったとしても現実を知ってしまうと一気に冷めます。ホンダ、スズキ、マツダの方がよっぽどこだわったエンジン使ってんじゃん。メルセデスよりもワゴンRの方が優れた鋼板使ってるなんて・・・以前にこのことをブログに書いたらメルセデスの掲示板に晒されてちょっと物議を醸したこともあったっけな。

新興国市場が大きく成長した結果、スーパーカーを作るベンチャーメーカーが次々と現れ、大手メーカーでもフォードGTやホンダNSXなどその波に乗ろうとしています。日本でもスーパーカーを作るベンチャーの動きが見られます。今どきベンチャーがクルマを作って上手くいくわけないじゃん!!!という見解はどうやら日本市場しか見えていない輩の愚論に過ぎないようです。これから新興国で何が流行するのか?・・・小学生でもわかるレベルの経営方針を大人が見極めることなんて簡単そうに見えて実はとっても難しいようです。予想外のところに答えがあるもので、メイド・イン・ジャパンの象徴が『自動車』『時計』という時代もいよいよ終焉を迎えそうな中で、日本が圧倒的な輸出国として存在感を増しているのがウイスキーなんだそうです。

ウイスキーは近年では新興国で大人気だそうで、スコッチ・シングルモルトの最高峰ヴィンテージが6000万円超で取引されるのだとか。そんな中で世界の品評会で次々と頂点を占めるジャパニーズ・ウイスキーが欧州で大人気となっているようです。2004年に埼玉県秩父で創業したベンチャーウイスキーの「イチローズ・モルト」の限定品を求めるために(手に入る保証はないが)欧州のマニアがわざわざ秩父にやってくるのだとか。あの秩父が世界の中ではにわかにスコットランドのアイラ島(醸造の名所)のような場所になっているってことです。

スコッチ・シングルモルト好きの物書き(退役の出版屋)・島地勝彦氏の「バーカウンターは人生の勉強机である」はとっても面白いエッセイ集ですが、筆者の歪なまでのシングルモルト執着は、欧州車以外は認めない姿勢を崩さない還暦前後のオッサンライターを見ているような気分になってきます。スコッチはスコッチでもブレンディッド(複数のモルトや他酒を混ぜたウイスキー)が最も馴染めるとうすうす感じている「現実主義」な下の世代から見ると、左ハンドルのSLを無理して日常のアシにしているオッサンのピュアさそのものですね・・・狭い駐車場で苦戦している人がたまにいますね(笑)。オッサンってのは一定の割合でピュアな生き物なんだなー。

クルマとウイスキー。欧州車やスコッチシングルモルトを執拗に愛するピュアなオッサン文化。いつしか世界をリードし世界を制覇するようになった日本車とジャパニーズウイスキー。『Pen』(島地氏の連載あり)『カーグラフィック』がオッサン文化のピュア度をさらに盛り上げる一方で、『Whisky World』(バーボンも差別しない!)『MFI』は・・・シニカル?いやいや世界の流れの中でそれぞれの製品がどう評価されているかを冷静に値踏みしています。どっちの姿勢が優れているか?なんて考えるのは全く無意味です。『GT-R』や『NSX』、それから『イチローズ・モルト』や『響』が世界一を目指して驀進してますが、世界に認められたこれらの製品に対して、いきなり「掌返し」をして祝福してくれるのは、なんだかんだ言ってやっぱりピュアなオッサンですし・・・。

創刊10周年120号記念。『MFI』が10年間で語ってきた自動車技術の総集編です。ピュアなオッサンが愛してきたBMWやアルファロメオの直4ターボが、実は三菱のライセンスエンジン(中国・韓国・マレーシアのメーカーが使う大人気エンジンですよ!!!)だった・・・なんて残酷過ぎる現実もこれまでMFIには書かれてきました。この総集編も日本がクルマ作りをやめれば世界はどうなるか?その「現実」がとてもよくわかる内容になっています。とても内容が豊富なので多くの人に読んでもらいたいという気持ちもありますが、ピュアなオッサンが読んで発狂して「クルマ離れ」とか始めたら嫌だな・・・。オッサンはカーグラフィックでも読んでるのがちょうどいいのかな?

 

カーグラフィックのテストが全く意味不明だ・・・。

カーグラフィック10月号は久々に高級セダンのジャイアント・テストでした。もちろんメルセデス渾身の新型Eクラスをプロモーションする隠れたミッションがあることは、誰の目にも明らかである程度の作為が行われるだろうことは予測済みではあるんですが。それでもこれはあんまりにも酷過ぎるんじゃないかー!!!と思った次第であります。

今回は700万円台の国産・輸入のラグジュアリーセダンが揃えられました。Eクラス(200)の他にはBMW5er(523d)、アウディA6、ジャガーXF(20d)、ホンダレジェンド、レクサスGS(350)。ドイツ勢とジャガーは直4のガソリンかターボ。日本勢はV6。同じ価格で横並びに設定するとユニットのレベルがこれくらいは変わってくるようです。5erなんてディーラー行けば軽く100万円以上は値引きしてくれますから、この5台なら確実に最も安く購入できますけどね。この6台ならば、どれでもいいという人は黙ってBMWへ行くべきだと思いますよ。試乗してディーゼルちょっとウルサイですねーとかゴネておけば150万円以上引いてくれる可能性も。

他の5台に関しては想像以上に値引きが少ないみたいです。先代のEクラスの末期は5er以上のバーゲンで相当に安かったですけど、新型シャシーになってからは相当に強気みたいです。アウディA6もほとんど売れてないくせに値引きはかなり中途半端。そしてレクサスやホンダも値引き交渉が虚しくなってくるくらいに辛い。やっぱり高級セダンをお手頃で手に入れたかったら黙って日産かBMWですね。最近ではこの手のクルマを街中で転がしているのは裕福そうな高齢の女性が多いですね。いい年したオッサンが自慢げに乗るクルマというちょっと前までのイメージがここ数年で一気に崩れました。高齢の女性が運転するならば直4ターボでも十分っていう判断もあるんでしょうかね。

さて具体的に何が意味不明か?というと、テストの最初の項目である『加速性能』が全く成立していない点。排気量が違うからって特別ルールが設定されていて、こともあろうにベストタイムを出しているレジェンドが最下位になるという完全なる異常事態が発生してます(これはホンダが可哀相だよ)。わざわざ測定しなくてもSH-AWDに電動トルクが使えるレジェンドが重量をモノともせずに圧倒するのは素人にもわかり切ったこと。V6自然吸気のGSに唯一迫れるであろうクルマが、AWDのアウディA6だけ。この3台が圧倒的に0-400mタイムが速い。残りの3台のうちBMWとジャガーはダルダルのディーゼルですからメルセデスE200でも車重によっては勝ち目があるかなーと思ったら、4位E200、5位523d、6位XF20dだそうです。もっともトルクが細いのに4位になったE200はエラい!!だから加速部門はトップなんだってさ・・・読者をバカにすんなよ!!!

確かにこんな企画に飛び付くのは、「イケてる高級セダン」でも物色してやろうという偏差値低めなビギナーばかりだとは思いますが、「おや!?今回はレジェンドも入っているのか!?」とついつい気になって最後まで読んでしまうマニアもそれなりにいるはず。世界のホンダが徹底的にリサーチして圧倒的な運動性能と居住空間を持ったセダンを作ったわけですから、改めてカーグラフィックがテストしなくても『加速性能』も『パッケージ』も『高級感』も全て頂点取る!そんなことはわかりきっているんですけども、『何か』を期待して読んでしまうわけです。ホンダの技術がアウェイのフィールドでドイツ勢をボコボコにした!と高らかに宣言されるんじゃないか?って・・・。

もうかれこれ3年くらい前になりますが、2013年10月号のCG誌上で歴史的な『マツダの完全勝利』というレビューが出ました。確か担当は大谷達雄さんでしたが、アテンザXDはBMW320dとは全然レベルが違うくらいに良いエンジンを搭載している!!!5000rpmを越えて加速していくディーゼルなんて!!!とか書かれてましたね。ちょうど同じ頃に清水和夫とかいうオッサンによって収録された動画では、「(アテンザXD)5000rpmくらいまで一気に上がりますねー」その後「(BMW320d)5000・・・5400rpmまでキレイに回りますね!」とかブットんだこと噴かしてましたけども、今回のCGのテストにおいても、改めて523dのユニットは4300rpmがレブリミットであるとハッキリ明記されています(BMWのDEは3年前から進化してないのか?)。

あの歴史的な『マツダ完全勝利』に続いて今度は『ホンダ完全勝利』が聞かれると思ったんですけどねー。もっともレジェンドにも弱点があって、CVT嫌いの人には敬遠されちゃいます。高級サルーンにCVTはレクサスでももちろん採用されてますが、レクサスのHVも運転好きな人々からはCVTがネックになって敬遠されているようです。本当に走りが好き!という人があえてレクサスを選ぶならば、やはりGS-FかRC-Fに行くべきだとは思いますが。またレジェンドはCVTというネック以外にも、北米アキュラブランドで完全にコケた(=主戦場でまさかの大失敗をした)!!!という黒歴史を抱えたモデルではありますけどね。それでもこの6台の中で買うならばやっぱりレジェンドかなーと思うんですよ。700万円払う価値がある唯一のクルマじゃないか?と。

(リンク)清水和夫氏の意味不明!?なBMWステマ動画