欧州はこのまま沈むのか!?
欧州自動車産業の盟主であったドイツの地位の大暴落が止まりません。疑惑は尽きることはなく、排ガス・燃費・リコールの自動車メーカー三大疾病に起因する問題で、ポルシェやアウディの執行部クラスの経営陣が、次々に逮捕されている悲劇が続いています。この悪い連鎖が続けば、喜ぶのはアメリカと中国!?これまでドイツ&日本メーカーが作ってきたトレンドで、クルマ文化を楽しんできたわけですから、他人事というわけにはいかない。
手のひら返しをするな!!
ちょっと前まで「日本メーカーは欧州メーカーに学ぶべきだ!!」とカーメディアは口を揃えてましたけども、今の状況ではブラックジョークでしかないし、もし真顔で書いてるライターがいても読者はついてこないだろう。だからって風見鶏のようにあからさまに態度を変えて、トヨタやマツダを褒めるってのはちょっと違うんじゃないかと思う。これくらいで意見が変わってしまうカーメディアは、結局のところは、足回りが硬いとかそれっぽく書く以外に、欧州ブランドの長所を正しく理解できている人がほとんどじゃないかとすら思う。
走る・曲がる・止まるの時代は終わった・・・
欧州車は日本車よりも「走る・曲がる・止まる」がしっかりしているし、「安全である」と80年代みたいなことを書いたところで、バカなオッサン読者しか納得しない。さすがに最近のカーメディアではこんなこと書く人は少なくなったけど、ほんの数年前まではよく見かけた表現でした。斎藤慎輔、吉田拓生、木村好宏といったアマチュア以下のレベルのライターだと今でも平気で書いてそうな感じがしますが・・・。
欧州を語れるライターは本物だ
アマチュア以下と失礼なことを書いてしまいましたけども、欧州車の良い部分を「文章」的確に納得できるように説明するのは相当な熟練ライターでないと難しいようです。50歳手前の河口まなぶ、山田弘樹、島下泰久、石井昌道といった売れっ子のレビューではちょっと荷が重いようで、この4人のレビューで一度として「至言」と呼べる示唆を見かけたことは無いです。50歳を超えて完全に「熟練」の領域に入っている西川淳、清水草市、渡辺敏史といった連中でも、ほぼ皆無ですね。下手に「リスク」を犯してまで語ろうとはしない。
日本メーカーは無粋
日本車の長所はまあ誰でも語ることができる。スペックやコスパを重要視するのが日本車の開発姿勢なのは今も変わってないです。昔の280ps規制ってのは非常に優れたアイディアだと思います。日本の自動車メーカーは「血の気」が多過ぎるし、規制なしで好き勝手にやらせたら過当競争して共倒れするのが目に見えている。某日本メーカーは、2007年におもむろにポルシェに宣戦布告しましたが、下手にポルシェを競争に巻き込んだために、ポルシェはSUVでお金を稼がなければいけなくなりました・・・。
売れてる輸入車は・・・
世界の小型・中型モデルはほぼ全てが日本メーカーの設計/アイディアをベースに作られています。日本で売られている99%以上のクルマは、日本メーカーの基幹技術で作られていて、日本車/輸入車の区別は、厳密には国内製造/海外製造の違いだけなんですけども、それらを比べてわけわかんないレビューを書いている人が多い。「日本車はダメ」って言いたいのだろうけども、やっていることの愚かさに気がつけよ・・・。
バーカ
「日本車なんて燃費だけ」とかコメントしてくるバカが結構多いですけども、完全に的外れな指摘をしてしまうのは、もはやクルマを語ってはいけないレベルだと思います。もしそんなクソレビューを雑誌媒体などで見かけたら、「カーメディアにひとこと」というブログで思いっきり晒します。そんなコメントが寄せられたら、思わず一言「バーカ」ってレスしてしまうかも。
欧州車を語ろう!!
欧州車の良さを語ってこそ本物のクルマ好きだと思う。もっと日本のクルマ好きは、「欧州車の優位性」について真剣に語れるようになるべきだし、もっともっとまともなレベルで欧州車の素晴らしさを語り合う必要があると思う。残念なことに100人くらいいる日本のカーメディアでもこれがしっかり語れる「プロフェッショナル」レベルに到達しているのはわずかに「福野礼一郎」と「沢村慎太朗」の二人だけだと思う。他にもいたらごめんなさい。・・・ということで、今後の欧州自動車産業を引っ張ってくれそうなブランドを5つ選んで見ました。
第5位 ボルボ
頂点が見えている!?
欧州自動車産業の新しい「光」。ボルボがやりたいことに目一杯金を出す吉利汽車も偉い。ボルボが採用するアイシンAWのミッション製造本格工場まで、吉利汽車の生産拠点の近くに呼び寄せました。あとはサスペンション、車体、ホイール、タイヤのサプライヤーをかき集めれば、ボルボのクルマはもっと良くなる?ザックス、カルソニックカンセイ、ワシマイヤー、BSなどを北京郊外に集結させて、エグいEVでも作りそうだ。スウェーデンにもEU中堅国の国家予算に匹敵するほどの巨額の設備投資をしているらしい。「ボルボの時代」がやってくる可能性もある。
第4位 アルピーヌ
新しいブランドとは!?
フランスで突如として復活したアルピーヌ。ケツ持ちはルノーなので、日産&三菱のエンジニアリングを使い放題!!フランス国営メーカーの傘下ということで、決して浮かれることなく、クソ真面目にクルマ作りをしている日産&三菱への期待を、このフランスのスポーツブランドに期待してもいいかも。とりあえず日産の1.8Lユニットをハイチューンして軽量ボデーに載せて復活1号機が登場。縦横どちらにも転用できるらしい日産の『VR30DETT』や北米向けFF車に搭載されている可変圧縮ユニットを使うこともできる。もちろんe-POWERも、PHEV化も思いのままだ。メルセデスがルノーにスリスリして、新型Aクラス用の1.4Lターボユニットを譲ってもらったようだけども、メルセデスに全部吸い取られるのはルノーとしては不満。インフィニティだけでなく、1号機の成功次第では、ルノーの「特殊ブランド」としてアルピーヌを成長させる狙いがあるようだ。
第3位 ジャガー
ナショナルブランドは強い
BREXIT対策としてベルギーの他にスロバキアに新たにジャガー&ランドローバーの生産拠点を構築中。アルミボデー成型を請け負うジーテクト(さいたま市)もスロバキアに呼び寄せました。将来に向かっての投資が停滞しているドイツブランドに対して、英国の期待を一身にになっているジャガー&ランドローバーはまだまだ「攻め」の姿勢を失っていないです。世界には投資マネーが溢れていて、GDP5位の母国からの投資も集中する。支配するのは旧植民地のインド資本。「大英帝国」の威信をかけたロイヤルブランドの復活・・・実際にカーメディアをかなりの頻度で賑わしている非常に精力的な活動が目立つブランドです。
第2位 アルファロメオ
まだまだ続く・・・
長く続いた冬の時代。147、159&166が廃止され、残されたのがアルファロメオの設計ではない(某日本メーカーのシャシーを流用)、ジュリエッタとミトだけというふざけたラインナップが数年間続きました。欧州車はいいなーってジュリエッタやミトを喜んで乗っている人もいるようですけど、そんな誤魔化しはアメリカでは通用しないので、しばらく販売できずに撤退。その後に自社設計したシャシーでミッドシップの『4C』とFRの『ジュリエッタ』『ステルヴィオ』が復活。この3モデルだけで北米市場へ再挑戦。さらにEセグセダンとSUVが追加される予定なんだそうだ。
第1位 メルセデス
王者
「私たちはメルセデスなんだ」というプライドが消えたら、ドイツメーカーは消えてなくなるだろう。あまりに官僚主義的なVWグループは、政治主導で中国市場を支配することはできるだろうけども、アメリカの自由な市場(もうすぐゲートが閉まるかもしれないけど)では、全く輝くことができない。そんなアメリカで掛け値なしに「実力」でその座を築き上げたのがメルセデス。アメリカ人が選んだ「本質」に根ざした設計に偽りはない。日本メーカーに先んじて量産体制に入ったモーター内蔵の内燃機関。クルマ作りに粗さが目立つようになっているけども、他のメーカーは車体設計サプライヤーに助けられているだけ!?メルセデスがさらなる改革をして再び欧州そして世界のリーダーになることを期待している。