日本人の力だけで世界を驚かす
新型クラウンの初期受注が3万台を超えているらしい。さすがですね。昨今ではトヨタだけでなく、ホンダ、マツダ、日産もこの『積み上げ』を数字で発表するのが好きですねー。月500台くらいが目標のモデルで、予約開始1ヶ月で9,000台とか13,000台とか積み上げるとなんだか人気が高いように感じる!?なんか必死さと出世のための「社内政治」的な発表でユーザー側はちょっと白けているが・・・。
数字ではない、クルマの価値の見抜くのがカーメディアの仕事だ
注目度を集めるためにニュースとしてアピールする機会が1回増えるだけでも大きいかもしれない。これだけ発売されるクルマの数が少なくても、よっぽどの有名車種かそのブランドのファンでもない限りは、モデルチェンジを認知すらしていないから、メディアに露出することはとにかく大事なんだろう。メーカーもあれこれ手を尽くして積極的に「数字」を作っているようだ。しばしばカーメディアでこの「数字」発表について否定的な意見も出ていたけども、「絶対に売れない!!」と某日本メーカーの新型モデルを否定していたK沢さんとO沢さんもこの「数字」に言及していて、「1年後には本当の姿が見られますよ」と、3桁転落を確信していたようだが、・・・あれれ1年経過しても1632台売ってるぞ。発売直後とほぼ同じ数字だ(イギリス生産モデルで大量の未使用新古車ってわけにはいかないだろーに)。
マインドコントロール!?
さて3万台も積み上げたクラウンの1年後はどーなるんだろう!?初期受注が半年分だとすると、1年後も月に5000台くらいは余裕で売るのだろうか!?ちなみに先代クランンの1年後のアベレージは3000台くらいだった気がする。先代の新型では何が変わったか!?ベースモデルの価格が100万円アップした。そして主力のHVは高性能化しているが、いよいよ6気筒エンジンが一部の特別グレードに限定された。キャビンのスペースなどはほぼ同等。インテリアの高級感もほぼ変化なしに見える。
合理性の欠如
3万台の中には個人タクシー用もあるのだろうけども、後部座席の空間はカムリHVの方が広い。FRとFFのセダンをリアの居住性で比較すれば、FFが断然に有利だ。年内に日本に導入される予定の、クラウンと同じサイズのレクサスESの後席空間は、5200mmクラスのレクサスLSを超えているらしい。23区などで現行アテンザのタクシーを見かけるが、噂されているように、もしマツダがこのモデルを安易にFRに変えると、これらの営業車需要は期待できなくなりそうだ。
ヒエラルキーはクルマを生かす?殺す?
一年後にクラウンが売れていようが低迷していようが、第三者的には特に問題ではないし、どっかのオッサンライターみたいに「売れたら丸坊主になる」なんて言うつもりもない。300万円台で買えた「ハイソカー」が、500万円超え輸入車顔負けの「高級車」になったのだから、もうちょっと近寄りがたい雰囲気があってもいいと思うけども、売り方がトヨタの他のモデルとあまり変わらない。プリウスとC-HRで300万円前後、カムリHVとハリアーで400万円前後、それぞれレイヤーを形成できたから、その仕上げとしてクラウンをアルファード/ヴェルファイアと同じ500万円前後に配置してヒエラルキーの完成度を高めている。さらにレクサスESとレクサスRXが600万前後・・・と積み上げていくのだろうけど。
直4&FRセダンの名車
冷静に新型クラウンの設計を見れば気づくことだけども、FRシャシーに直4エンジンを載せただけに過ぎない。ほぼほぼ中国市場では「定番」のスタイルの域を出ない、この先にこのクルマはどんな評価を受けていくというのだろうか!? バブル以降で直4のFRセダンで、名車の域にまで到達したモデルは・・・『アルテッツァRS200』くらいのものだ。アルテッツァもベースモデルは直6だったけども、RS200にはヤマハがチューンした「3S-GE」というスペシャルユニットが搭載されていた。他に例は見当たらない。
ミニバン用のエンジン
そもそも6気筒、8気筒などの大型エンジンを積むため!!というのがFRセダンの設計上の合理的な説明だ(積載が売りのワゴンなら話は別だけど)。バブルの頃からBMWの下位サルーンは直4エンジンだったけども、このブランドのFR&直4車に乗ると、ちょっと死にたい気分になる。乗るたびに自分の意識を偽ってしまう。1200kg程度の車重だった時代ならまだしも、1500kgを超えてミニバンかトラックにでも使うようなトルク優先型の直4ガソリンターボに乗るくらいならディーゼルを積極的に選びたくなる気持ちもわかる。もうそこは完全に『感性の墓場』とした形容ができない。
堕ちた日産
スカイラインの直4ターボはもう悪意すら感じた。開発者連中が首脳部に対して何らかの主張・反抗をした結果のクルマとしか理解できない。当たり前だけども主力市場のアメリカには導入されていない。なぜ日本向けはこのユニットなんだろう・・・。栃木生産車には、当面は北米専売になりそうなVCターボの直4が新たに加わったが、それ以外は全てV6、V8が基本だ。小沢コージさんが「セレナはミニバンのスカイライン」とかいう迷言を残していたが、日本向け直4のスカイラインはほぼ100%自虐に堕ちた、プライドも何もない『感性の墓場』だ。そして新型クラウンも・・・直4ターボ&直4ハイブリッド共に、「スペック表だけならミニバンかSUV」な・・・設計だ。これが高級サルーンだと言い張るトヨタの底力はいかばかりか!?
この先はどーなるのやら!?
もしかしたら15代目クラウンはこれまでの常識をことごとく変えていくかもしれない。これまでに「常識を変えたクルマ」・・・セルシオ、ロードスター、レガシィTW、R32スカイラインGT-Rの「花の89年組」以降は、NSX、GT-R、LFAなどのスーパースポーツが目立つくらいだ。スーパースポーツの増加によって日本車の限界は大きく広がっているとは思うけども、その中で非常に消極的な領域にとどまっているに過ぎない新型車で、自動車文化を変える!!と言うトヨタの大風呂敷の結果がこの1年でハッキリするだろう・・・。
最新投稿まとめブログ