ジャガー・ランドローバーが赤字転落、英国のEU離脱に向けた減損損失計上が影響 2018年4-12月期決算 https://t.co/5igwR9ZZ8T
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) 2019年3月13日
日本で売るクルマがない!?
2019年に入ってから日本市場のジャガー販売がちょっとだけ復活の気配だとか!? 同じグループのランドローバーも同様に好調なことから、何らかの販売方針の変更があった模様。2月はジャガーが303台(前年同月比167%)、ランドローバー412台(前年同月比141%)。特段に新型モデルがあるわけではない。考えられる理由は昨年後半にドイツブランドが、欧州で販売ができなくなる旧規格のモデルを放出して、世界的に数字が上がった(日本市場向けはすでに値引き限界だったためか目立った変化はなかったが・・・)。これと同じ理由でジャガーも注文が殺到し、それが納期の関係で越年して数字が大きく上ブレした!?
孤立無縁
この一過性の現象が過ぎ去ったら、日本市場のジャガー・ランドローバーはどーなってしまうのだろうか!?特に何かが決定した訳ではないけど、ちょっと嫌な予感がする。先月に出された「赤字転落」のニュースは衝撃的だったようで、離脱延期の議論が進むなど英国議会が紛糾しているらしい(この国は日本よりも頭おかしいのでは!?)。散々に振り回された挙句に離脱はやめます!!みたいなオチだったら・・・。安倍さんは無関心のようだけど日本の自動車メーカーは結束して「政治」を動かす。トランプ、習近平、メルケル、マクロンはそれぞれに「自動車外交」を繰り広げているのに、どーも英国は・・・。かつては自動車先進国として名を馳せたけども、オイルショック後に日本車が台頭する中で、国内ブランドを統合して国営化する「ブリティシュ・レイランド」の大失敗で、政治と自動車の繋がりはタブーになったようだ。同胞企業も政治からの支援もほとんど期待できない(雇用対策費を拝領してイヴォークを作ったりしたけど)、ジャガーランドローバーだけが孤立・・・キツいよなー。
ブレクジット、当然の結末
割と近年までジャガーは英国だけに工場を構えていたけども、ここ数年の改革でBRICSへの進出を果たしていて、中国、ブラジル、インドに生産拠点が確保された。さらに英国の三工場の規模を縮小して新設されたスロバキア工場へと移すとのこと。2017年からはオーストリア・グラーツのマグナ=シュタイアーにも生産委託が行われている。「英国王室御用達」の威厳は保たれるのだろうか!?という余計な指摘もあってあまり大胆なことができない。単なる組み立て工場の運営母体に過ぎない自動車メーカーは、サプライヤーの支援が受けられない地域では活動できなくなってきている。もちろんブレクジットの影響で、ホンダと日産が相次いで英国生産からの撤退を表明。サプライヤーに依存しているのだからそりゃ仕方ないよな。
欧州の新たな自動車発信地域
ジャガー・ランドローバーも独自の技術に合わせたサプライヤー群を揃えて、スロバキアに大規模工場を開設した。この移転に合わせて2019年6月からスロバキアでアルミ部品工場を稼働させるのが日本のサプライヤー「ジーテクト」。それなりに大きなプロジェクトも動いているので、ジャガーランドローバーが簡単に廃業とはならないだろうけど・・・。アラバマ、メキシコ、上海、タイなど、新しい時代の自動車産業集積地に対して、スロバキア、チェコ、オーストリア周辺の「銃と自動車」が生まれた地域は、再び発展することができるだろうか!?ジャガー・ランドローバーに加えて、マグナシュタイアーとの連携を深めて合体もあり得るBMWも、この地域に進出しつつあるようだ。そしてジャガーにBMWのV8を供給するとかいう新たなアライアンスが結ばれたらしい・・・。
ブレクジットで全てがややこしくなった!?
英国の自動車ブランドは、ロールスロイス、ベントレー、MINIはドイツ系メーカーに、その他の主要ブランドは旧植民地地域から出てきた新興メーカーによって所有されていたが、どうやら風向きが変わってきた・・・。クウェートの投資会社が所有していたアストンマーティンの権利はイタリア資本が買収していて、元日産のアンディ=パーマー(今の古巣のゴタゴタをどう思っているのか?)がCEOに迎えられ、新たにメルセデスとの提携でクルマ作りをしている。マレーシアのプロトンに買収されたロータスは、親会社の成長が振るわず、プロトンとともに中国の吉利汽車グループに入った。そしてジャガー・ランドローバーはインドのタタグループに属しているが、タタも新興国メーカーとしての成長度にやや疑問がある、欧州・中国・北米市場への計画は全く上手くいっていない。もしかしたらプロトンと同じ運命にあるのかもしれない(インドの販売基盤が欲しいグループが打診している!?)。
生存戦略
メルセデスは吉利汽車との資本関係を構築しているので、アストンマーティンとロータスは親しいグループに属していることになる。ここにジャガー・ランドローバーを加えて「英国ブランド」を数珠繋ぎにしたブランドグループが誕生するかもしれない。新興国資本による「ブリティッシュ・レイランど」復活。4ブランドが同一資本で束になって参入すれば販売拠点を統合することもできるので、例えば日本向けに4ブランドで1000台/月をコンスタントにクリアすることも十分可能だ。プジョーシトロエンやフィアットクライスラーも複数のブランドをまとめて1000台をクリアしている。吉利汽車傘下でもいいから経営統合されれば日本市場にも正規販売を維持しやすいだろうが・・・ボルボで買えるようになる!?
少量モデルは外注で作る時代
現在のジャガーが世界的なプローモーションを仕掛けている勝負モデルは高性能EVの「I-PACE」。価格はほぼテスラの上級モデルと一緒。日本ではリッチな外国人が多く住む一部の地域でしか流通しないだろーな。このモデルは今のところ全量がマグナ=シュタイアーに生産委託されている。価格を考えればそれほどまとまった数字が出せるモデルではないので、自社工場の生産ラインを割り当てるより断然に費用対効果に優れるのだろう。スープラ/Z4も同じ理由でマグナ生産のようだ。ただしマグナも営利企業なので、ジャガーとBMWに対してそれなりのロットを要求したらしい。それぞれI-PACEとスープラ/Z4がラインオフする1年ほど前から、それぞれ同一設計シャシーを使うE-PCEと5シリーズもマグナの工場で生産されている。マツダシャシーなのだから、MAZDAに外注すればいいんじゃね!?
世界三大ブランドの誇り
ジャガーの誇りといえば、1948年から脈々を受け継がれてきた専用設計スポーツカーの系譜。スーパースポーツの専門ブランドを除く総合自動車メーカーの中では、ポルシェ(1948年〜)&マツダ(1968年〜)と並んで伝統を非常に重んじる「世界三大ブランド」だ。この3ブランドはいずれも自国生産を重視するという意味でも共通点がある。「Fタイプ」「911」「MX-5」それぞれのブランドの血脈は自国の主力工場だけに限定されている。ボクスター、ケイマンはずっと外注されてきたけど、911はこれからもドイツ生産が守られるだろう。
ジャガーはぜひ残って欲しいな・・・
ジャガー・ランドローバーがタタに売却されてしばらくの間、XJ/XF/XEやレンジローバー・イヴォーク、ディスカバリースポーツにはMAZDAが設計したエンジンが搭載されていた。ジャガー車に「東洋のジャガー」が作ったエンジンが載っていた。そしてイヴォーク、ディスカバリースポーツ、E-PACEはMAZDAの旧型シャシーが使われている。メルセデスは三菱の、BMWはHONDAのシャシーを、下位グレードのFF車に採用していて、今ではブランドの半分以上がFF車となっっているが、ジャガーもMAZDAシャシーを使って、その気になればAクラスやX1のように日本市場で300万円以下で売りさばいて台数を確保することもできるだろうが、ブランドの安売りは嫌っているのか、旧型マツダシャシーに手を入れて600万円くらいのSUVモデルに仕立てている。志は高いのだけど、だんだん日本市場では馴染みがなくなっていきそーだな。
「輸入車の良さがわからないヤツは・・・」
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