1、メルセデス
伝統を背負う超が付くくらいの名門ブランドゆえに、より一般的な日本メーカー車とのデザインで「ニアミス」を起こせば、それなりのダメージを受ける宿命にある。日本では誰もが知っている「ベンツ」の圧倒的なブランド力の源泉とは、バブル期からの30年以上に渡って日本車とのデザイン上での差別化を図ってきたことが非常に大きい。BMWやアウディは日本人デザイナーを登用し、かつての日本車にヒントを得てデザインを構築しているけど、メルセデスは2010年を過ぎるまで「媚びる」デザインを使わなかった。
前田育男氏がMAZDAのチーフデザイナーを勤めるようになったモデル(高級志向のMAZDA)が2012年から販売された。ゴードン=ワーグナーの就任により現在の「媚びる」デザインを展開し始めたメルセデスだったけども、前田監修のMAZDA「魂動」デザインよりも早くラインナップを拡大し、日本市場のドイツブランドにおいて完全に「一人勝ち」という状況が2年ほど前まで続いていた。しかしMAZDAが「魂動ver2」を発売した2019年から一気に失速して、同年発売の新型Aクラスを全力でプロモーションしたにも関わらずまさかの前年比10%減となった。デザインの優劣以前の問題で基本性能でAクラスがMAZDA3に完敗したという見方もあるけど、ワーグナーにとって前田の存在は煙た過ぎるはず・・・。