トヨタ・ヤリス
アメリカ市場向けの新型自然吸気エンジン(1.5L)や、GRヤリスの日本導入も実現し、トヨタが新たに意図する「ドライビング・ファースト」なクルマ作りを示す最前線と言えるモデルなので、疑問を呈するのはお門違いかもしれない。トヨタはBセグハッチバックに複数のモデルが投入できる数少ないメーカーであり、アクアやパッソ(ダイハツ設計)も併売されているので、アグレッシブなエクステリアを選択することも可能だ。そんな中で登場したヤリス。車体重量、MT設定、ダイナミックフォースエンジンなどデザイン以外のところが、トヨタには珍しく他社ユーザーも羨む設計になっている。
そんな恵まれた素質を持つ渾身の一台だけど、デザインがいかにも「やっちゃった感」がある。某社のカリスマデザイナーが著書で語るところの「5分で作れるゴテゴテデザイン」の(悪い)見本みたいになっちゃっている。両サイドにダミーじゃない空力のエアロダクトを5ナンバーサイズの幅に押し込んだフロントフェイスは、限られた条件の中で精一杯にデザイナーが知恵を絞っている。トヨタは某社のようにデザイナーが実質的なボスのように設計を牛耳るメーカーではない・・・それは良いことでもあるのだろうけど、トヨタデザインの限界がそこに見え隠れしている気がする。