フェラーリやポルシェに並ぶ存在
アレック・イシゴニスによるオリジナル「ミニ」革新的設計は、60年代前半のフェラーリやランボルギーニの設計陣にも大いに影響を与えたらしい。それを2001年に20世紀最高のメーカーだったホンダの技術を使って受け継ぐセンスは素晴らしいし、日本でも廉価モデルなら230万円の本体価格で新車が手に入る。EVには決して真似できない50年の伝統。ポルシェ911、メルセデスSLにも同じことが言えるけども、金額で価値がある程度は代弁できてしまうモデルではなく、クルマの歴史を知っているからこそ楽しめるモデルという意味でミニの存在価値は高い。
日本スペシャル!?
特に「クーパーS」は車重やスペックが往年の日本車を彷彿させるものがある。インテグラ・typeRやカローラランクス・Zエアロは1.8L自然吸気で190psまで引っ張る「非日常」なスポーツモデルだった。「B18C」「2ZZ-GE」のような二輪メーカーの威信をかけた高回転ユニットは日本のエンジン車におけるハイライトと言っていい。残念ながらそれらより2000rpmも下で最大出力が出てしまう「クーパーS」のBMW2Lターボエンジンでは、やや趣きが違うのは致し方ないが、実際に乗ってみると、ツインスクロールターボのコントロールは全速域でスムーズであり、峠や隘路も突っ走っていきたい「あの時」の感情が鮮やかに蘇る。