分社化で組合を解体
2000年頃の自動車メーカーはバブル崩壊という未曾有の事態を前に、グループの雇用を守るために必死に奮闘せざるを得なかった。バブル期にアメリカの自動車産業を踏み越えての成長は、貿易摩擦を招き、北米、欧州、中国でも様々な経営リスクにさらされた。経営環境は変化するし、組合からの要求は非常に大きい。日産はレバノン人を使って組合を解体したが、トヨタは組合を守った結果、下請けや組合外労働者との軋轢が増した。「大卒で大企業」の職場はさぞかし幸せそうに見えるかもしれないが、トヨタや日産の本を読むと内部抗争は苛烈を極めていたことが生々しく描かれている。組合と上司から二重支配される労働環境で人生を消耗させたくないという意見もあって当然だと思う。
労働の現実
NPO的に働く「組合外」労働者は、「非正規雇用」とか呼ばれ「社会の癌」であるかのように語られてきた(メディアの責任?)。しかし現実にはこれらの労働者こそがどんな企業でも欲しがる人材なのかもしれない。多くを望まずに誠実な労働力であれば無理にリストラなどしないだろう。JRグループなども文句が多い組合員をターゲットにリストラが行われたらしい。生産活動法人であれ、サービス活動法人であれ、1億以上の人口を抱える国を維持するためには必要不可欠な存在だ。お隣の国は10倍以上の人口を抱えている。世界的な資本主義の震源地になった香港への弾圧は仕方のないだとも言える(日本政府がホリエモンを国策逮捕したのと同じ構図?)。習近平もナレンジャラ=モディも資本主義のあり方に徹底して批判的だ。先日見た池上彰の政治解説にはこの視点が決定的に欠けていたように思う。