マカン相当の価格だが・・・
今回登場したマセラティ・グレカーレは、まだまだ普及価格というわけではないけども、「白レク層」や「ポルSUV層」と一緒にされたくない人々に、新しい選択肢を与えている。手頃な中古車のダブつきが目立つレクサスやポルシェのブランド価値は急降下していて、街中にありふれている今では特別感が足りない。MAZDAを好んで乗る私には「特別感が足りない」ことの深刻さがイマイチわからないのだけど、最高にクールでセレブな生活に憧れる人にとっては重要なことらしい。
MAZDAも「妥協しないデザイン」「有名ブランドにも負けない質感」などを打ち出している。贔屓目なしにレクサスやアウディと比べても質感は遜色ないし、BMWやアルファロメオに匹敵するドライブフィールの伝統を持っている。それでもこのマセラティ・グレカーレの前では、CX-60もCX-5もちょっと分が悪そうだ。レクサスやメルセデスと比べる限りは、MAZDAの方がむしろ好みだと言えるけど、マセラティはMAZDAが許されるならやりたいような設計を贅沢に使っているし、センス溢れるラグジュアリーを熟知していて、エクステリアもインテリアも艶やかだ。
価格安定を待つ
MAZDAの上級モデルが2台買えてしまう価格は、統制を失っている世界インフレの煽りを存分に受けている。「日本だけ給料が上がらない」「アメリカの時給は日本の3倍」などと盛んに報道されているけども、日本では比較的に堅実な消費と供給によってインフレは上手く抑え込真れている。日本だとポテトチップ、菓子パン、カップ麺など、マトモな食生活をする人が食べないものばかりが値上がりしている印象だ。栄養価が低く激安な食料を好む消費者ばかりがインフレに翻弄される。
「日本が貧乏なだけ」と自動車価格の高騰を当然のことだと受け入れる意見もある。無理して1000万円くらいのクルマを買う人もそれなりにいるだろう。リーマンショック後の金融緩和合戦(低金利・大量の通貨発行)でダブついた資金が、リスキーな暗号通貨への投資や低成長の日経225さえも押し上げている。そんな中でやってきた新型コロナによるスタグフレーションで、アメリカなどでは一時的に異常な物価&賃金が記録されているに過ぎない。