SUVブームは終わる
価格はともかく、このグレカーレの導入によって、秩序も定義もなく10年余り売れ続けた量販型SUVブームになんらかの新しい潮流が生まれそうだ。他社のSUVの寸法を元にデザインし、中身は軽自動車やコンパクトカーと同じ。スポーティな走りは追求する必要もない。「SUVルック」と「ステマ」だけでユーザーを動員してしまう。この手法で大資本メーカーが市場を破壊してしまうので、いいクルマが出てこない。
徹底的にコスト管理を加えて、他社モデルを潰すべく「ハリアー」や「カローラクロス」が導入された。これらのモデルが導入された時に、先行するライバル車にはない特段の進化はなかった。むしろ退化してる感じすらある。MAZDAの縦置きシャシー開発は、そんな悲観的状況をなんとか変えようとする最大限の努力だといえる。
変態メーカーだけが残る
「縦置き6気筒だけども気取らないサイズ感」が、日本市場にも定着するだろうか。BMW・X3、ポルシェ・マカン、アルファロメオ・ステルヴィオが既に販売されているけども、ここにグレカーレとCX-60が加わった。4.5~4.8m級のボデーで縦置きのSUVはパッケージ効率はむしろ悪く、総合自動車メーカーでは安易には取れない選択肢であるけども、長距離派のユーザーしか支持しないであろうこのマニアックなジャンルこそが、最もBEVを寄せ付けない設計かもしれない。
メルセデスやアウディがエンジン車の開発を打ち切ったとしても、このグランドツーリングカーのイメージを存分に発揮する5ブランドがあれば1つのジャンルとしてシェアを得られるだろう。ちょっと前のコージーTVでも小沢コージさんと渡辺陽一郎さんが語り合っていたが、FRシャシーは3列のミニバンを仕立てるには、回転半径を抑えられるなどさまざまな恩恵があるけど、それを横置きのミドルSUV(CX-5など)のサイズで作るところに妙味があるとのこと。