自動運転の悪夢
サスペンション、ミッション、エンジン、ブレーキング、ステアリングの5つは、例えばホンダ、BMW、MAZDAなどのメーカーにとっては乗り味の「生命線」といえる。これが自動運転の時代になったらサスペンション以外の4つは意味が無くなるのだから重大な問題だ。この3つのブランドのユーザーは、この5つの可動部のフィールでクルマの良し悪しを判断し、決して安くない自動車所有コストを払い続けている。
フィットやMAZDA2、あるいはヴェゼルやMAZDA3など軽量なクルマであればあるほど、これらの要素は他のメーカーとの差別化要素になりやすい。どっかのユーチューバーが「MAZDAの最適解はデミオ」という、煽り気味のタイトルで動画を作っていたが、まあ言わんとしている意味はわかる。BMW(MINI)やホンダに比肩するダイナミックな走りはMAZDAらしい可動部から生まれていて、車体が小型であればあるほどハッキリと個性が出る。
MAZDAのテリトリー
小型車におけるMAZDAの味は、あくまで部分最適化に過ぎないとも思う。MAZDA2の価値は決して否定しないけども、MAZDAが世界の市場で示している本来の価値とは、BMWやホンダなどよりもさらにストイックに、長距離ツアラーとしてエンターテイメント性に富んだ走りを追求している点だ。長距離(300kmくらい)のドライブを半日ずっとは走り続けてこの魅力を享受するには、ある程度の排気量があり、走りの許容度が高いモデルが望ましい。今更に6気筒エンジンに回帰する決断も、MAZDAのこの特殊な立ち位置による判断だと言える。
MAZDA2の排気量(1.5L)で長時間ドライブはちょっとしんどい。高速道路では高回転で騒々しいし、斜度がある上りでスムーズに進まないのもストレスだ。Bセグには定評のあるモデルが多い。ホンダやBMW(MINI)以外にもスズキ、VW、ルノー、プジョー、シトロエンといった選択肢もある。MAZDAの経営上の都合としても、コスト競争の猛者メーカーが集うこのジャンルでの勝負は難しい(スズキ、ルノー以外は日本市場ではボッタクリ?)。Bセグのシャシー更新の予定が白紙になるのもわかる。