トヨタだけ可能
歴代プリウスに代表されるように、トヨタが持つ軽量化技術は、ドイツの名門ブランドもアライアンスで技術提供を受けるなど世界的にも定評がある。それでもトヨタは今回のクラウン&アルファード「一括企画」において、重厚感を重視して、クルマをさらに重くしてきた。「作る以上は勝つ」これがトヨタの社是なのだろう。高級車の代名詞であるメルセデスをターゲットに「エコ」よりも「車体剛性」を完全に優先した。
ガチガチになったボデーに、最大で21インチタイヤを履かせるというダイナミックな構成は、どこよりもソフトな仕上げだと感じるトヨタのサスペンション・フィールと相性がいいのだろう。もしBMW、ホンダ、MAZDAが剛性アップ&21インチだったら、もはや乗用車としての最低限の乗り心地が確保できるとは思えない(一部のモデルでは存在するけど)。この3ブランドが貫いてきたサスペンションの設計思想を大きく変えたとすれば別だが、それはブランドの自殺行為だ。
トヨタの方がかっこいい!?
BMW、ホンダ、MAZDAはそれぞれ世界中にファンを抱えている。70年代から世界の第一線でスポーティなグランドツアラーを作り続けてきて、それがSUVに変わってもなお、味わいは存分に保たれている。しかし設計が決まり過ぎてしまった部分もあって、インパクトあるモデルチェンジが打ち出し難いのもまた事実だろう。車体剛性もほどほどにしないと乗れなくなってしまう。同様にホイールもこれ以上に大径化は難しい。
新型プリウスのように、次期のシビックやMAZDA3が19インチを装着するようになるだろうか。トヨタの柔らかいサス・フィールがあってCセグ・ロードかーでも19インチが成立するのだろう。トヨタの狙い通りクラウンクロスオーバーや新型プリウスは、足元から妙な存在感を放っている。クラウンクロスオーバーと同じクラスのBMW5シリーズにも21インチのオプションがあるけども、標準サイズはあくまで18インチである。プリウスと同等サイズの2シリーズグランドツアラーは18インチしか選べない。