強引な前進
前回のこのブログで「トヨタTHSによるグローバル進出は難しいのでは?」みたいなことを書いた。走りを求めるユーザーから定評があるMAZDAやBMWがTHS方式のハイブリッドに関しては導入に否定的な立場なので、ドライバビリティに関する課題が多過ぎるのだろう。しかしそれはあくまでMAZDAやBMWのバイアスが入った素人による「憶測」でしかない。
かなり前から自動車関連のメディアで書かれていたことだけど、まもなく「ドライバビリティー」の時代は終わり、「スマート・カー」の時代に突入する。「コネクティド」なる概念が常識になり、「CASE」という造語が誕生したけども、各メーカーの現行車のパンフにそんな言葉は踊っていない。メディアで使われることも少なくなり、やや時期を逸した響きがある。。ガラケーからスマホに変わるような商品力のダイナミックな変化を自動車産業においても意図したけれども、これが現状の生活をどれだけ劇的に変えるのかいまだに不明なままだ。
極大化する利益
トヨタの伝統を背負う「クラウン」の質的変化による商品力PRに、この「CASE」を上手く使おうと考えていたのかもしれない。2018年頃から「CASE」を説明するような書籍がいくつも出版された。この手の業界本は出版の背景としてメーカーがバックに付いていることも多いようで、既存の日本メーカーに噛み付くような内容のものはほとんど見られない。まるでトヨタがライターを仕立ててシナリオ通りに記事を書かせ、業界の変化を周知させることで世論やユーザーの誘導を図っている印象すらある。
日本のカーメディアでは、しばしば中国当局や欧州委員会には「トヨタ潰し」という恣意的な自動車政策があり、その荒波をトヨタが超えていく「プロジェクトX」仕立てな記事が読者の支持を得やすいようだ。しかし恣意的な情報を振り撒いているという意味ではトヨタも同じだ。売上43兆円で営業利益は4兆円余りだそうだけど、40兆円近い経費(納税含む)を使う途方も無いプロジェクトの規模感を「トヨタ国」と形容すると、G20の上位に位置するくらいだから相応の政治力が求められるのだろう。