経済は災いを産む
ドイツの哲学者マルクス=ガブリエルが近著において、フェイスブックやテスラを名指しで「偽善企業」「グリーンウォッシュ」だと完全にこき下ろしていた。もしかしたら日本語翻訳家が過激すぎなのかもしれないし、ガブリエル氏が政情不穏なドイツで台頭する極右政党「ドイツのための選択」(日本でいうところの「日本維新の会」)の広告塔だったりするのかもしれないが、日本で手頃な価格で本を出している数少ない欧州の哲学者にしては、あまりに辛辣でびっくりした。
マルクス=ガブリエルの著書にはトヨタが名指しで攻撃されることはなかったが(日本版だけ削除!?)、巨大多国籍企業に対する反発は絶えず渦巻いている。バブル期のイケイケな日本自動車産業によって脆くもすり潰された北米や欧州の泡沫メーカーへのレクイエムとして2000年頃にアメリカのトマス=フリードマンが「レクサスとオリーブの木」を発表して大反響となったこともあった。
再びトヨタの受難!?
その後の2000年代に北米におけるトヨタ自動車への大バッシングや、中国市場での日本車襲撃事件が巻き起こった。1980年代にも日本の教科書でお馴染みの北米における「日本車破壊ショー」があった。20年周期と考えると2020年代中盤に差し掛かった辺で、再びトヨタへの風当たりは強くなるのだろうか。2024年になってからもトヨタグループからディーゼルエンジンの不正が発表された。
完全子会社の日野自動車やダイハツが自動車産業の根底を揺るがす不祥事を起こしているけども、親会社のトヨタへの厳しい意見は少数派だ。記者会見でトヨタやダイハツの役員(トヨタ出身)に厳しく迫った若手記者もいたが、コメント欄でトヨタファンの嘲笑を受けていた。過去にリコール隠しで強烈なメディアバッシングを受けて辛苦を味わった某財閥系メーカーの社員達は憤りを感じていることだろう。
21世紀政策研究所シンポジウム「資本主義の未来を考える」 マルクス・ガブリエル ボン大学教授 講演「資本主義の未来と企業行動」 https://t.co/Druo8WjK2N @YouTubeより
— CARDRIVEGOGO (@cardrive55) February 6, 2024