世界3大グループ
1つの結論として「モビリティショー」への名称変更は、トヨタが自動車メーカーを卒業するので、それに合わせてイベントの趣旨も変えてしまうことを意図しているのかもしれない。すでに日本各地の四輪車組立工場の多くは、トヨタ、ホンダ、日産などの関連会社が運営している。メルセデスのように自動車開発のほとんどの部門を中国の関連会社に移す日本メーカーも出てくるかもしれない。
「クルマ作り」に代わる新しいコア・コンテンツとして、CASEやモビリティ型都市開発に軸足を移している。売上43兆円で世界19位のトヨタの上には同15位のフォルクスワーゲン、下には同31位のステランティスがあり、自動車産業の3強を形成している。ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリなどスーパースポーツブランドを傘下にもつなどの旧態依然な他2社とは異なり、トヨタは「日本メーカー」として新たな起業を意図しているようだ。
高性能車開発
GT-Rで知られる元日産の水野和敏さんがずっと主張していることだけど、日本ではドイツやイタリアと違って高性能車の開発が難しく、「公道の使用許可」など様々な規制があり大きな障壁になっているらしい。ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカのメーカーが700psクラスのハイパフォーマンスモデルをラインナップするのに対して、世界最大の自動車メーカーであるトヨタを始め、日本メーカーにはそのようなモデルは存在しない。
700ps級のハイパフォーマンスモデルは、サーキットでモータースポーツを嗜む貴族的顧客向けに開発されたものであり、日本では貴族遊びの習慣もほとんどなかったため、メーカーの開発者にもそのようなクルマに精通した人材はほとんどいないと思われる。ハイエンドなクルマを作らない日本でいつまでも「モーターショー」の名称にはやはり違和感がある。まだフェラーリが300〜400psで作られていたバブルの頃なら「モーターショー」にふさわしいモデルが多かったが、リーマンショック後(2008以降)から日本の自動車産業には、ハイパワーという概念は無くなっている。