中国開発の良さ
ドイツ車として求められる機能性での進化はあまり期待できない状況のメルセデスEクラスだけども、誤解を恐れずに言ってしまうと、開発部門が中国の上海へ移転したことによる変化がこのクルマをより魅力的にしているように思う。ドイツ車が苦手だったインテリアのデザインが、主力市場のセンスを吸収してかなりポップなものになった。直近の10年で最も経済成長してきた中国の熱量が伝わってくる。バブル期の日本車の進化を見ているようだ。
MAZDAもレクサスも「上質さ」をテーマに質感を上げる取り組みをしているけども、どこか日本の景気の悪さゆえの思い切りのない「地味さ」が目立つデザインが多い。近年はNDロードスターや、5代目プリウスがWCOTYのデザイン賞で世界トップを獲得してはいるけども、2020年頃からWCOTYの主役を張っているのは韓国メーカーだ。
クラウンの世界的評価
中国・韓国を聞くと耳を塞いで否定してくる人は、さっさとページを閉じて欲しい。あくまでデザインの話なので、好き嫌いの主観的な判断に左右されるものだけど、韓国メーカーや中国メーカーは自動車産業の主役になるべく、多くのチャレンジをしている。日本のカーメディアは誰も指摘はしない(できない)けど、トヨタのクラウンシリーズのデザインは、2019年発売のヒョンデ・ソナタなどの韓国車の影響を否定できないくらいにフロントデザインはソックリだ。
アメリカでは韓国車は定番なので、ヒョンデと見分けがつかないデザインで発売されたトヨタの新しいフラッグシップ・クラウンクロスオーバーのデザインは失笑を買っている。中国開発になって伝統を放棄したメルセデスの内装もテスラの影響を大きく受けている。優秀なデザイナーが日本やドイツのメーカーではなく、韓国、中国、アメリカのメーカーに移籍しているのだから仕方がないことではあるけど。