日本車500万円時代
セダン、サーキット向けスポーツカーは中国市場、アメリカ市場に従ってBEVで開発する。グローバルで台数が稼げるSUVならばエンジンモデルはしばらく残るかもしれないが、欧州ブランドは片っ端からPHEVに変わって行きそうだ。日本専売の軽自動車も、地方のガソリンスタンド不足に対応して、国内メーカー主導でBEV化が進む。大衆的な普通車(ICE)はタイやインドから逆輸入が主流になっていきそうだ。
日本製の普通自動車は今後も価格がどんどん上がっていき、乗り出し500万円くらいが当たり前になりそうな勢いだ。ハイブリッド車をBEVの価格まで吊り上げていかないと、質素倹約な日本人はなかなかBEVに乗り換えてくれない。中国市場でもミドルクラスのBEVは500万円前後になっている。街中でイキリ&ダッシュをしたいだけなら、THSのCVTでも、e-POWERでもどちらでもいいのだけど、プリウスだろうが、リーフだろうが乗り出し500万円は規定路線と思われる。
メーカーの個性
トヨタのハイブリッドも、日産のBEVやe-POWERも、MAZDAのICE(マイルドハイブリッド)も、絶対的な優劣があるわけではない。現実にプリウス、リーフ、MAZDA3(スカイX)をそれぞれ最上級グレードで選べば、いずれも乗り出しは500万円くらいだ。同じようにハリアーHV、エクストレイル、CX-5(ディーゼル)が横並びの価格設定だ。他社と被らないから、それぞれにタイプの異なるユーザーを獲得している。
ハイエンドな2ドアクーペでも同じことが起きている。ハイブリッドのレクサスLC500hと、BEVのポルシェ・タイカン、ICEのAMG・SL43(直4ターボ)が同じくらいの価格で並び立っている。しかしポルシェ・タイカンとその兄弟モデルアウディe-tron・GTはいずれも4ドアモデルでセダン&ワゴンに分類される。高級車からBEV化が進んでいくとされているけども、1500万円クラスのロードカー・クーペ市場では、どのメーカーもなかなかBEV化に踏み切らない。