乗り味の良さ
100万円余計に払うならば、ユーザーはその分だけステータスが高まることを期待する。個人的な感想では「走りの良さ」だけでも十分に100万円以上の価値はあると思う。走行性能を存分に味わうような、気ままなドライブの時間が十分に取れなかったとしても、運転席やナビシートの居住性においては、ヴェゼルやN-BOXより静かで快適な時間が楽しめる。
軽くアクセルを踏み込むだけで、自在に加速するパワートレインだけでなく、シビックのような中型車になると、ステアリングの操作感が非常によく作り込まれている。軽自動車やBセグのようなスカスカなステアリングが好きなんだという人もいるかもしれないので、絶対的な価値基準ではないけども、電動パワーステアリングは、エンジン開発が停滞しているメーカー(三菱など)でも、コストをしっかりかけて進化させている。
ホンダとBMW
現行シビックの走りに関しては、BMWの同クラス車(1er、2er)などと比べても、ほとんど遜色はない。周知の事実だけども、BMWの横置きエンジンシャシーのルーツはホンダにある。2000年頃にホンダの技術が欲しくて、BMWは英国ローバーを買収している。中国や台湾のメーカーが日本の自動車産業を部分的に買収したり、技術者を引き抜いたりして進化したけども、それと同じことをBMWもやっている。
BMW、メルセデス、アウディが2010年頃からCセグメントの横置き車をアメリカでも投入し始めたけども、アメリカ市場にはシビックが君臨しており、その地位を脅かすことはできず、ブランドのEV移行と重なって相次いで生産中止に追い込まれている。シビックは世界で最も活躍している日本車と言っても過言ではないが、これほどの名車が日本であまり売れないのは残念なことだ。