e-POWERはダメなのか!?
日本市場で販売されるクルマのほとんどは近距離での利用が中心で、毎回のように100km超の距離を高速道路主体で走るという人は極めて少数派だ。中国や欧州の大都市で利用されるタクシーの多くはリーフなどのBEVが主役になった。2011年にリーフがWCOTYを獲得してから13年が経過するが、近距離の商用車ではBEVが完全に市民権を獲得している。
多くの民家が立ち並ぶ道で、慢性的な交通渋滞が発生していて、アルファードやCX-8などのICEがノロノロ運転という日本の風景は、中国、欧州、アメリカでは考えられない「無礼な行為」だ。小排気量のコンパクトカーならまだしも、2トン近くある巨体を非電動のICEでノロノロと引っ張るのが、どれほど非効率で環境負荷が高いか想像できないのはリテラシーの低さ以外の何者でもない。
高速道路向け日本車という幻想
「デカい車体への憧れ」は中国やアメリカでも顕著にあるけども、5〜7km/Lくらいの燃費では、長距離を乗り回すクルマとしてお粗末だ。もちろんBEVやe-POWERは高速道路において経済性が劣る。世界のブランドはラージクラスのサルーンなどを積極的にBEV化して、都市部で乗り回す需要に応えている。日本でも都市部でノロノロ走るだけならアルファードもCX-8もBEV化すべきだった(後継のCX-80にはPHEVが設定されている)。
国際感覚豊かな日産の戦略は、どう考えてもガラパゴス化が否定できないローカルな日本市場のユーザーの感覚に合わなかった。利益しか見ていないトヨタや最大手メーカーには逆らえないカーメディアは、日産やホンダのICE離脱の方針を「気が狂ったとしか思えない」と痛烈に批判する。しかし目立つ車体サイズのクルマ(どうせ街中の短距離しか使えない)に乗りたいならアルファードやランクル250ではなくて、テスラ・モデルSや街中ではBEV走行になるホンダ・アコードを選ぶのがより正しい選択に思う。