バッド・タイミング
カムリ、アコードが日本市場でHEV専用になる中で、日産ティアナはCVTを使ったICEモデルとして日本市場に残った、日産と協力関係にある変速機らプライヤー大手のジャトコからエストロニックCVTが供給されていて、200psを超える出力を許容していた。HEV化されたカムリは初期にはスマッシュヒットしていたようだが、200万円台前半のティアナと、300万円を超える価格のカムリの対峙は、時間の経過とともにティナナが日本市場で生き残れるアドバンテージとなった。
カムリやアコードが日本でHEV専用になった2011〜2013年頃には存在しなかったが、その後にトヨタは2Lダイナミックフォースエンジン(170ps級)にK120型ダイレクトCVTを組み合わせるユニットが2018年頃から登場している。ホンダも1.5Lターボ(180ps級)にCVTを組み合わせる「禁断」ユニットを2015年のシビックから投入し、北米向けアコードやCR-Vにも使われている。
日産の先進性・MAZDAの幸運
これに対して日産ティアナは2003年のデビュー当時から3.5LのV6(230ps級)に対応したエストロニックCVTが採用されていて、2008年のフルモデルチェンジで直4モデルも含め、全車がCVT化された。この頃の日産は世界の先頭を切って量産型BEVのリーフの販売を開始したり、世界最速のロードカーGT-Rを作るなど派手な活躍をしたが、エンジン車の基幹技術においてもトヨタやホンダの10年先を行っている。
トヨタ、ホンダの戦略ミスと、日産のティアナにおける停滞のタイミングで、2012年に投入されたのが3世代目となるMAZDAアテンザで、ディーゼルエンジンの経済性と、トルク容量確保のためのトルコンAT継続がウケて、一気に日本車ミドルサルーンのエース格にのし上がった。初代&二代目アテンザは欧州市場ウケを狙って高コストで作られていたようだが、日本市場での知名度は低かった。