マーケット的に厳しいか?
手軽な価格(本体200万円台スタート)で、ゆったり乗れて、様々なシーンで活用できるユーザーの方を向いたミドルSUVだけども、全グレードのスタート価格が400万円を超えると、販売は大きく減ることが予想される。実際のところは下取り価格も上昇するので、実質的な負担はそれほど変わらないかもしれない。現行モデルの下取りもかなり上がっており、買い替えの見積もりを実際に見てみたら納得できる部分もある。
コンパクトSUVや軽自動車など、100万円台、200万円台で様々な実用車が選べる中で、長距離、快適、最低地上高、ラゲッジの広さをストイックに求めて400万円台のミドルSUVを選んでくれる「ツアラー派」のユーザーが日本市場にどれだけいるだろうか。輸入車やレクサスならば、そのブランド知名度によって「SNSのアクセサリー」として広くユーザーが集まってくるだろうけど、フォレスター、CX-5、ZR-Vのメインユーザーを考えると、キラキラ要素が欠けている。まあそれが魅力ではあるけども・・・。
ラグジュアリーよりスピリッツ
ちょっと失礼な言い方だけど、芸能人やスポーツ選手が、これらのクルマに乗っていたら、「格負け」した感じになって具合が悪い。同じことが、タワマン住人、医師、商社勤務などにも言える。彼らの選択肢には最初からホンダ、MAZDA、スバルは入っていないことが多い。ライフスタイルは育った環境に大きく左右されるのだから、親が輸入車に乗っていれば、息子も輸入車に乗るのが当たり前である。メルセデスやBMWに最初から乗っていれば自然と「選民意識」も育まれるだろう。
富裕層を相手に商売してきたメルセデスやポルシェの伝統に対して、ホンダ、スバル、MAZDAが数年でイメチェンして挑むのはやはり無謀なのかもしれないが、世の中のユーザーは「資産の有無」だけで単純に分断されているわけではない。自動車開発のスピリッツにおいてはメルセデスやポルシェをも上回る「生きる伝説」となっているホンダ、スバル、MAZDAには、世界中のファンが熱視線を送っている。