ラウンド1:ロードカー
アルファロメオ・ジュリア (717万円〜)
リアデザインは、日本車やドイツ車とあまり区別がつかないけども、フロントマスクはクラシックカーのような貫禄が備わる。2017年の登場時は446万円〜だったが、現在は廉価グレードが廃止されていて、ベースグレードが280psの2L直4ターボのヴェローチェと、ハイエンドに2.9L・V6ターボのクワドリフォリオの2グレードのみになった。さすがに気軽に買える価格ではなく、日本市場の販売台数もブランド全体で2024年は963台(前年比マイナス42%)で大台を下回ってしまった。
2028年に予定される「ユーロ7」を乗り越えるためのユニットが未発表で、今後の展開は不明な部分が多い。マセラティ、ジープなどと共通のステランティスの中型車向けBEVとマイルドHEVが開発されていると予想されるが、どうなるか全くわからない。現行型が非電動(ICE)では最後のアルファロメオになる可能性も高く、多くのファンがそれを理解しているので、インポーターも強気な価格設定なのかもしれない。
ボルボV60 (646万円〜)
「ボルボといえばワゴン」という特別なヒストリーがあるわけでもないけど、欧州市場に合わせて真面目に作り続けた結果、高級ワゴンを買うならボルボが良さそうというイメージを築いた。先代(初代)のV60はフォード傘下で、直6を横置き搭載できるシャシーだったが、現行のボルボSPAプラットフォームは、直4ターボ専用となった。日本向けはFFが197ps +電動モーター、AWDが250ps +電動モーターとなり、さらにハイエンドなPHEVグレードがある。
実用性を追求した特別グレードが「クロスカントリー」で、最低地上高210mmまでリフトアップして250ps版のユニットが付いている。794万円とやや高額ではあるが、全高1505mmに抑えつつも、CX-5並みのタイヤクリアランスが確保されていて、0-100km/hはプリウスの満充電全開加速と同等の6.9秒というグレード名そのままの「ウルトラ」高性能なラグジュアリーワゴンになっている。
判定:ボルボV60の勝ち
どちらもロードカーの本質を追求し、高い商品力を持っている。ジュリアはアルファロメオが抱えるサーキットで走りたいユーザーを意識しているので、サーキットに行かない人にとってはオーバースペックになる。横置きエンジンながら、フロントサスにダブルウィッシュボーンを配したV60の走りは、高速道路での直進安定性が高く、縦置きFRのジュリアとは一味違うけども、高速ツアラーとして申し分ない設計である。