ラウンド2:スモールSUV
アルファロメオ・トナーレ (MHEV595万円、PHEV712万円)
怠惰な日本人によってSUVが世界の標準車となってしまった結果なのだろうか、日本では行政が輸送密度の低い道路の路面を整えることを放棄し始めた。「通行にはSUVタイプが適しています」と警告をしてくる自治体が増えている。EU屈指の借金大国イタリアも状況は似たようなもので、サイクルロードレースを観ていると、2000m級に位置するスキーリゾートにアクセスするルートはことごとく未舗装路のままだったりする。
イタリア人の所得でも買える水準で「PHEV版」のSUVを作った結果、スモールSUV(北米サイズ基準)のボデーに1.3Lターボ+モーター(AWDという設計になった。さらに廉価な「マイルドHEV版」は1.5Lターボが充当されたが、北米市場ではパワー不足で2Lターボに積み替えが行われている。日本向け1.5LマイルドHEV(FFのみ)でも160psに48Vモーターの20psが加わるので、燃費&加速ともに日本メーカーの同クラスの非電動ガソリンSUV(CX-5、ハリアーなど)と比べて優れている。
ボルボXC40 (559万円〜)
温暖な欧州でも高高緯度のスウェーデンは、雪害に負けないロードクリアランスを持つSUVがすっかり定番車となった。PHEVとマイルドHEVの2グレード構成。日本向けMHEVはFF車のみとなったようで、どのグレードも2L直4ターボの163psを11psのモーターでアシストする。ポルシェ、BMW、ランドローバーの高性能なSUVは、サーキットのような路面で走るには良いだろうけど、凍結気味の路面では適度なパワーバランスのSUVの方が使い勝手が良い。
全長はヴェゼルとCX-5の中間くらいのサイズであるが、車幅はボルボの側面衝突への考え方から1875mmとワイドな設計になっている。衝突安全性はもちろんだけど、ボルボの上質で落ち着いた内装の作り方を表現するには、ワイドな車内空間が与える「ゆとり」のデザインが不可欠なのだろう。FFのみに割り切って、日本車の2大SUV(ヴェゼルとCX-5)が人気の市場で、より洗練された「都市型SUV」カーライフを提案する。
判定:アルファロメオ・トナーレの勝ち
登場時はアルファロメオのイメージに合わない違和感があったが、MHEVは久々に「FFのアルファロメオ」が帰ってきた!!と喜ぶべき1台だ。FFの軽快なハンドリングを楽しむならばアルファロメオの伝統はホンダやMAZDAを凌ぐ。