ラウンド3:ミドルSUV
アルファロメオ・ステルヴィオ(824万円〜)
ステルヴィオ峠はアルプスの標高2750m地点にある。日本のマイカー通行可能な最高点が2360m(大弛峠)なので、まるで日本車が到達できないレベルのエクストリームな登山用SUVであることを車名が示しているかのようだ。奥多摩周遊道路(1146m)で耳がツーンしてしまう人には気が進まないかもしれないが、高い金額を支払って自動車を買う理由の1つが、非日常な場所へアクセスするためだ。
ランクルやジムニーとは違う世界観で、かつて存在した日本車だと、スカイラインクロスオーバーが、ステルヴィオに一番近い存在だった。アルファロメオは販売に成功したが、日産は販売時期(2009〜2016年)がちょっと早かったが、2016年にステルヴィオやメルセデスGLCなどのコンセプトをコピーしたモデルが次々と誕生したのは皮肉だ。V6ターボ、直4ターボ、直4ディーゼルと「走りのステージ」に合わせて3つの非電動ユニットが選べる。高価だけど実用性に振ったモデルだ。
ボルボXC60 (769万円〜)
ボルボの定番となっているPHEVとMHEVの2グレード構成。MHEVはFFのみで直4ターボ250psに11psのモーターで、シビックtypeRのようなスポーツモデルを除けば、FFの限界まで出力を上げている。未舗装路を含む山岳路より、比較的にフラットな中高速域のバイパス向きの設計だ。ハリアーやCX-5にもFFのグレードがあり、市街地と高速道路を中心に使うユーザーから支持を得ている。高性能エンジンとボルボのハイクオリティな内装があるとはいえ、769万円ではなかなか選びにくい。
XC60は東京都の吉祥寺や国立など高級住宅街周辺で多く見かける。ハリアーやCX-5では格好が付かないステータスのある地域では、XC60の他にレクサスNX、CX-60、ポルシェ・マカンなどが信号待ちで並んでいる。中古リセール価格でも400万円以上の支払いが求められるプレミアムSUVは、貧乏人にみられる気分の悪さもなく、狭い道路でも入っていけるという点で支持されているようだ。
判定:アルファロメオ・ステルヴィオの勝ち
車格だけで対峙してしまったが、完全にミスマッチだ。さまざまな地形の道路を越えて走るミドルSUVはAWDが望ましい。非電動ICEの方が、長距離で乗り味も良く耐久性も高い。