ラウンド4:コンパクトSUV・BEV
アルファロメオ・ジュニア・エレットリカ (556万円〜)
ステランティス内のブランドで広く使われる設計で仕立てられているため、各ブランドが開発時にチェックをしているだろうから、マイナートラブルは少ないのではないかと予想される。アルファロメオ初のBEVでハイエンドな加速性能が期待されるが、日本向けには282psのハイエンドモデルは設定されておらず、出力は控えめの156ps版だけとなっている。
三菱がBEVのランエボを作ることが期待されているが、アルファロメオが軽量コンパクトなボデーに282psのモーターを載せた。テスラ・モデル3やヒョンデ・IONIQ5など加速の良いBEVは他にもあるが、かつてのランエボに近いBセグ(4m級)のサイズに加え、456kmの航続距離を持ちながら車重1560kgに抑えていて、ワインディングで走らせたくなるという意味で、ジュニア・エレットリカは特別な価値がある。ステランティスの共通設計を使いつつも、アルファロメオの新しい世界観を期待させる。
ボルボEX30 (559万円)
ボデーはミニマム(Bセグ・4235mm)だけども、272psの後輪駆動で、動力性能はボルボでも最強レベルにある。開発時にテスラの強烈な加速が世界を席巻していたこともあって、「ポールスター」をBEVスポーツカー専門ブランドとして立ち上げたボルボのBEVは高性能モーターが搭載されている。BセグのBEVは日本市場でも可能性を持っている。販売終了となった「HONDA・e・アドバンス」は154psのスペックだが、先日も奥多摩周遊道路で、32kg・mのトルクで豪快にヒルクライムしているのを見かけた。
「HONDA・e・アドバンス」は車重を1540kgに抑えたが、航続距離も最低限の283kmしかない。EX30は560kmの航続距離を誇るが、車重は1810kgに達する。完全BEV化を主張するホンダなので、後継モデルは登場するだろうし、ジュニア・エレットリカの設計は「HONDA・e」の魅力を取り入れている。2027年にはMAZDAもBセグのBEVをレンジエクステンダー付きで発売するので、BセグBEV市場は今後のカーライフの中心になる可能性が高い。
判定:ボルボEX30の勝ち
甲乙つけ難い力作同士だけど、272psで駆動可能なRWD設計で、FWDの156psとほぼ同じ価格なのでボルボの勝ちにした。軽量なジュニア・エレットリカも奥多摩周遊道路で見かけるようになりそうだ。