6、価格上昇
トヨタに限った話ではないのだけども、自動車価格の上昇は続く。タイのアルファードは800万円だとか、フランスのGRヤリスは1000万円だとかを、日本人が貧乏になっただけとか、ネット記事などで目にすることはしばしばある。本当に日本人が貧乏ならば、オーストラリアやイギリスから日本に中古車が大量に流れてきても良さそうだが、現実には日本の中古車が外国へ輸出されていくことが多い。今も昔も日本人は「ステマ」に操られている。
メーカーが強気な価格を設定する原因として「残クレ」を上げることが多い。アメリカ人は金持ちだから残クレなんか使わないで新車が買えるような気がするが、現実には支払いが滞ったユーザーのクルマを差し押さえる仕事があるくらいで、残クレの普及率は日本以上に高い。残クレを利用することに文句はないが、ランクルやアルファードの購入者の大半を残クレに誘導する価格設定をしたトヨタの方針は、自動車産業全体を歪ませている。
現金一括派が残クレ用の価格を押し付けられれば当然ながら市場が縮小する。欧州、アメリカ、中国、インドも同じように販売台数が10年前と比べて低下している。残クレ価格上昇と円安で過去最高の更新を続けているトヨタの営業利益は、世界の総合自動車メーカーと比較しても異次元の高水準になっている。ホンダ、日産や欧州、米国、中国、韓国のメーカーが利幅の少ないBEV開発と心中する中で、巨額の利益を貪るトヨタは悪目立ちする。
アメリカの関税、EU委員会や中国当局のトヨタ潰し政策は今後も続くだろうが、そのコストを吸収するためにも、ランクル、アルファード、RAV4、クラウン、カローラなどの主力モデルの価格は上がっていくだろう。乗り出し価格でカローラが400万円、RAV4が500万円、クラウンが700万円で、現金一括派は躊躇するが、残クレならば会社勤めでも購入は可能だ。現金一括派には300万円のルーミーやライズが用意されている。