あっという間に終わってしまった2017年。上半期はC-HRが独走。ちょっと前のヴェゼルの大ヒットが霞むくらいの売れっぷりは予想外でした。300万円くらいするSUVながらも普通車販売ランキングでトップを取ったのは立派!!相手は燃費モンスターのプリウスや、200万円そこそこで買えるノートEパワーやアクアだったことを考えると、トヨタはまんまと「貢献利益」の大きいクルマを売り抜きました。やっぱスゲーな。
ちょっと見栄が張れる価格帯。トヨタがブランド化に成功しつつあるTNGA採用の設計。トヨタらしからぬアヴァンギャルドなデザインは、「日本のシトロエン」とか命名したくなるくらい秀逸で、将来はヴェロッサ(ジャガー風?)、30ソアラ(アストンマーティン風?)、最終形セリカなどのトヨタの確変デザインの系譜で語られるクルマになるはず。2018年もC-HRのようなユーザーをその気にさせて大金を使わせるクルマが出てくるでしょうか!?すでに発売もしくは発売が予定されていてすでに公開されているモデルから5車を選んでみました。
第5位 アバルト124スパイダー
まだこのクルマは十分に評価されていない気がします。2016年夏の『オートモービルカウンシル』で大々的に公開され、クラシックカーやスポーツカーがたくさん集結する中では、あまり目立った存在ではありませんでしたが、このクルマは街中を走らせるとかなりいい感じの見栄えです。インテリアこそOEM供給元のマツダの「ジャパンモジュラー感」がなかなか拭えないですけど、NDロードスターとは違うワイドに張り出したエクステリアは別の車格を感じさせます。これこそがイタリアブランドに求められていた、手軽なライトウエイトRWD=ディーノの復活!!を高らかに宣言しても良さそうです。
スポーツカーですから、高性能なシャシーと駆動システムで評価されるべきなんですけども、それとは別にクルマ好きの脳裏に焼き付いている原風景に刺さるようなデジャブなクルマをリバイバルすることが、より直情的にクルマへの興味を書き立ててくれるんじゃないか!?と思います。ディーノというクルマを見たことがない!!あるいはオートモービルカウンシルで止まっているのを見ただけという人もいるかもしれません。それでも一目で名車であることがわかる特別な「型」を持っています。
ハイラックス、ランクル、ジムニーなどおクロカンAWDがマニアのハートにがっちり刺さるように、名車ディーノの生まれ変わりといってもいい124スパイダー。388万円はなかなかお買い得だと思います。
第4位 VWポロ(新型未発売)
もう日本ではハッチバックは売れない!!ってことになっていて、2011年に発売されたアクアが今もハッチバックで一番売れているモデルとして鎮座している。これは由々しき事態・・・あれだけカーメディアが絶賛したデミオや、RJCカーオブザイヤーのスイフトが、アクアの足元にも及ばないという現実をどう読み取るべきか!?市場は150万円出してデミオやスイフトを買うよりも、200万円出してアクアやN-BOXを買っている。
新型ポロに乗れるまでまだまだ数ヶ月はかかりそうですけども、このクルマにはかなり期待しています。語弊があるかもしれませんが、やや「病的」に見える日本のBセグハッチバックの各車に強烈なパンチを見舞ってほしい!!アクアを筆頭に日本のBセグが世界をリードしているのは間違いないでしょう。しかし現実は各メーカーともに「変化球」の応酬で、アクア、フィット、スイフト、デミオ、ノートがそれぞれにセグメントの頂点を主張する浅はかな展開です。全部1番!!つまり全部最高であり、全部最低。それに対してルノー・ルーテシアのさりげない佇まいはいいね。
VWといえばルノーをパクる伝統があるようで、新型ポロもどうやらボデーの拡大の程度などから、欧州でゴルフを抜く勢いのルーテシアを強く意識しているようです。日産のエンジン&ボデーとマツダのデザインを採用して劇的に生まれ変わったルーテシアですが、どうも日本市場ではワンパンチ足りない。どこか日本車っぽいんだよなー。
それに対して足抜けのいいVWのステア感に加え、220ps級のゴルフGTIと同じユニットを乗せるらしい新型ポロGTIへの期待は大きいです。ゴルフ7GTIはホットハッチというにはあまりにもシャシー&ボデーが良すぎる。日本のどっかのメーカーが掲げている「人馬一体」みたいなニューロン/シナプスを感じさせたいなら、もっと『軽く』してほしいと率直に思いました。ゴルフ7GTIの「ピュア版」としてかなりウケるんじゃないかと・・・。
第3位 ルノーメガーヌ
着実に先代モデルよりもパワーアップしていて、まさかCセグでシビックに追いついてこれるモデルが輸入ブランドから出てくるとは!?夢にも思わなかったです。これまでの『Cセグ=ハリボテ』といったスタグフレーションなモードを打破するべく、個性的な技術を載せてきました。中国市場が震源地となっている「テンロクターボ」がメガーヌとセントラによってルノー日産のグローバルスタンダードとして、欧州、日本、北米に押し寄せてくることになるとは・・・。
ポロの項目で書きましたけど、メガーヌの一つ下の車格を担当するルーテシアが欧州でゴルフの牙城を切り崩しつつあります(VWの自滅という部分もありますけど)。そしてゴルフと同じCセグだったメガーヌは、新たな敵を求めて、日本に復活したシビックと同じタイミングでフルモデルチェンジをしてきました。かつて日産はホンダプレリュードの成功を超えるべく、シルビアという大ヒット車を開発しましたが、21世紀になって再びホンダvs日産(ルノー)の真剣勝負が展開されるようです。
北米セントラにも搭載され205psを誇る1.6Lターボは、シビック自慢の1.5Lターボを牽制するのに十分な戦闘力を持ち、トルクベクタリングで違いを見せるシビックに対して、こちらはリアホイールステア(4WS)を装備してます。もう日産出身の頑固な開発者がウラで差配しているのが見え見えなんですけどねー。メガーヌGT334万円。この価格なら出してもいい!?と試乗した人は思うはず。
第2位 アウディA5
2012年に某日本メーカーの新車(生産中止直前に駆け込んだ)を買ったんですけども、その頃に中古車価格に注目していたのが、このアウディA5でした。当時は最も安いモデルでも300万円台後半。3.5Lエンジンを積むV36スカイラインが新車で買えちゃうくらいの人気でしたが、今ではすっかり100万円台の個体がたくさん出てきております。故に500万円くらいまで新車価格が下がってきた2代目も、なかなか苦戦している模様。
しかしジワジワと市場にも4ドアドイツサルーンの選び方が浸透してきたようで、A4よりA5SB、320iよりも420iGCの方が異次元でドライビングフィールがいい!!もうわざとしか思えないくらいに違うんですねー。高齢者のリアイア用がA4と320iであり、現役世代のプライベートサルーン向けなのがA5SBと420iGC。いやーA4や320iを試しただけで「アウディもBMWも終わってるなー・・・」なんて言っちゃダメですよー。
第1位 マツダCX8
なんだかフロントマスクがテス○に似てきたマツダの最新型魂動デザイン。竹岡さんも動画で言ってますけど、最近のマツダデザインは「巨艦」の方が合ってる気がします。なんだかこのCX8が出てきてからCX5がやたら寸詰まりに見えて仕方がない。このCX5の致命的なデザイン上の欠点が周知されるようになるであろう2018年は、代わってこのCX8が売れるのでは!?という気がします。トヨタ・ハリアーや新型になったばかりのBMW・X3よりも明らかにワンクラス上の風格が逞しい限りです。
マツダは輸出だけで生存できるわけですから、日本向けは思い切って『巨艦主義』に路線変更してはどうでしょうか!?ディーゼルも3Lくらいまで排気量を上げて、ピックアップトラック、フルサイズセダン&フルサイズワゴンを全部5m級で作る!!そんなデカイクルマが売れるわけねーだろ!!って思うかもしれないですが、現実にはパナメーラや7シリーズなど販売が先代モデルよりも好調だったりします。マキェスタ廃止、レジェンド不調など、トヨタやホンダの巨艦が日本市場に適応できていないですから、チャンスなんじゃないでしょうか!?マツダの「巨艦主義」元年になることを期待します。