アメ車代表・レクサスLC
日独米韓の大手メーカーは北米市場でビッグクーペをヒットさせたいと思っているようだ。アメリカの映画やドラマに颯爽と登場し、誰もが知っているセレブが愛用してそうな代表的なクルマに挙げられることが、もっとも効果的に企業価値やブランド力を上げると考えられている。「メルセデスAMG・GT4ドアクーペ」「BMW8シリーズ」「レクサスLC」続々と新型モデルが出てきている。これは何らかのマーケットが存在してきたことを意味している(テスラがあんなに顧客を集めるなんて)・・・ポルシェはまだこの路線には踏ん切りがつかないようだ。スポーツブランドとしてのプライドが許さない!?
アメリカと日本の違い
野暮な話だけど、年収3000万円くらいの若者がカリフォルニアにはゴロゴロいて、バカンス、時計、クルマなどあらゆる消費が世界の他の地域とは違っている。ZOZOタウンの社長みたいな立志伝はアメリカではそこらじゅうに落ちているようだ(ベン=ホロヴィッツ「HARD THINGS」)。日本とは何が違うのか!?規制緩和だとか色々言われているけども、日本社会はどうも若者軽視の風潮が強い。年配の人にナメられていて、そこでチャンスを失っている(若い議員はちょっとやらかすと人生終了だけど、年配議員や二世議員は守られる)。若くして自分の「ふんどし」を確立し、単なる下請けではなく、業界再編のキーマンになるようなインパクトがある仕事を個人SOHOレベルがやってのけることは、アメリカだけでなく日本でも「あるある」になってきているのでは!?
若者が成功するために必要なこと
相手が大企業の役員であったとしても、堂々と張り倒すような風格を身につけよう。最高のスーツは50万円くらいで手にはいる。時計は150万円くらいでOK。そしてクルマは1500万円!!靴、鞄、コートはそれぞれ10万円くらいで十分。5年焼却でざっと総額2000万円。年商5000万円クラスの事業主(例えば不動産営業で30%もらう人々)なら、そこまで分不相応ということはない。これまでは医者、弁護士、作家などに限られてきた自由な身分が、様々なジャンルの企業案件の請負業でも十分に実現可能になりつつある。
レクサスLCの使い方
ちょっと大げさかもしれないが、アメリカ社会、そして今後の日本社会においてもレクサスLCのようなクルマは相手の信用をいち早く勝ち取り、あらゆるシーンにおいて名刺がわりに機能するという意味で重要な役割を果たすことになる。仕事はあらゆる方向で見つけられるが、信頼を得ない限りは何もできない。1つのアプリが人の動きを変える。東京オリンピックのような公的なエンターテイメントなんかよりも、匿名ユーチューバーが作る動画がより大きく世の中に作用することもある。信頼さえあっさり獲得できれば、日本にもアメリカのようにいくらでも活躍できる人は出てくるだろう。クリエーターもインフルエンサーもディーラーも・・・あらゆる領域で「ハンドメイド」なサービスの方が通用する時代。それがIoT社会ってヤツだろう。
「ハンドメイド」の時代
プリウスやカローラはトヨタが数十万台規模で量産して「インフラ」として売っている。その真逆の存在がハンドメイドのレクサスLC。神奈川のビール工場で作られた缶ビールをずっと持っていても価値はなくなって行くけど、イギリス・アイラ島のボウモアを買って保管しておくことで未開封ならどんどん価値が上がるだろう。去年まで4000円くらいで買えたノンエイジの山崎を5本ほど保管しているが、現在は品薄でネットでは9000円くらいで流通している。同じサントリーの製品でもビールとウイスキーでは将来的な価値が全然違う。
価値あるものを持つ時代
手間暇かかってそれほど儲けが少ないであろうウイスキー蒸溜事業。サントリーがボウモアを含む世界の蒸溜所を所有するビーム社を買収したのは、これからは「ハンドメイド」に価値が生まれると信じているからだろう。自社の山崎や白州が原酒不足になるくらいだから、世の中の動きは面白いくらいに掴めただろうけど。
クオーツ時計で信頼を失う!?
軽く読み流してほしいですが、電車に乗っているときの男性の時計、靴、鞄は、結構周囲に見られている。秒針の動きだけで「この人はダメだ・・・」と見切られる。革靴はソールのタイプが見られている(横から見るだけでわかる)。鞄は素材とブランドでだいたい相場は決まってしまう。どれもちょっとした投資で本物が手にはいるのだから、35歳過ぎたら待ったなしで買うべきだと思う。
ディファクト・スタンダード
全身をハンドメイドで固めるという表現はちょっとダサく感じるかもしれないが、それがスタンダードであり最低限のお約束だ。レストランにドレスコードがあるように。トヨタが突然にレクサスLCを作った背景には、何らかの社会的必然性がある。このメーカーは冒険はしない。アメリカの新しいライフスタイルにおいてこの手のクルマが必須になってくる。それ以外の経営判断はありえない・・・。
ユーロ車代表・ジャガーIペース
2018ドイツCOTYを受賞したジャガーのピュアEVです。ブレクジットに備えて完成工場はスープラと同じマグナ=シュタイアーのグラーツ工場だそうです。BMWとの提携を深めるマグナ=シュタイアーはゲトラグを傘下に収めるなどサプライヤー・コンツェルンとしての地位も高まっている。欧州メーカーにとっては非常に都合がいい「なんでも屋」で特に苦手なミッションやAWD機構の技術集積を行っているらしい。
業界再編の動きが・・・
ジャガー・ランドローバーはインドのタタ傘下で再建に取り組んできましたが、オペルを傘下に収めたPSAがさらにジャガー・ランドローバーにも手を伸ばしているらしい。もういっそのこと「VWグループ」「ルノー・日産連合」「フィアットクライスラー」に圧迫されているブランド同士が大同団結して「PSA/BMW/ジャガーランドローバー・グループ」を結成してはどうだろうか(ケツ持ちはトヨタ)。半官半民の要素が強い「VW」「ルノー」「フィアット」に対して、自由なクルマ作りが持ち味の欧州メーカーゆえに安定的な経営基盤とより大規模なアライアンスを組んで、新しい「ユーロ車」の価値を創造してほしい。
新しい市場を切り開くかもしれない
ドイツ市場も絶賛したジャガーIペースは英国の品格と、フランスの自由なボデータイプと、ドイツの絶対的性能を持ち合わせた規格外の5ドア&スーパーEV。見た目と加速性能だけならEV化されたシビックtypeRなんだろうけど、同じようなコーナリング性能は・・・なさそうだ。日本価格は1162万円だけど、この価格でエアサスがついてくるクルマってそんなに無いと思う。レクサスGS-Fと同等の運動性能でキャビン空間だと考えれば、ほぼ同じ価格は素晴らしいんじゃ無いでしょうか!?欧州のハンドメイド的なクルマ。
再び欧州が目覚める!!
ハイブリッド技術の無料公開に踏み切ったトヨタやホンダは、おそらく意地でもこのIペースのようなクルマは作らないだろう。BMWからはすでにi8が発売されているし、i4なるSUVモデルの発売が予告されている。ポルシェとアウディもラグジュアリーEVがスタンバイしている。欧州内のサプライヤーでEVの基幹技術を取りまとめて、日米韓の陣営に対抗する「スタイル」を確立する時間的な余裕が生まれて、他のグローバル市場でも人気が出れば、再び欧州ブランドは自信を取り戻してくれそうだ・・・。