日産・キックス
これまた2020年代の日本車を代表しそうな雰囲気すらあるクルマです。今の日本市場で、どのメーカーでもそこそこ売れるBセグSUV。ホンダ、スズキ、ダイハツ、プジョー、シトロエン、VWといった大衆向けブランドにとっては最重要なジャンルになったけど、そもそもの先駆けは日産ジュークであり、特に欧州市場でのSUVブームに貢献。ジュークの登場はもう10年以上前の話。1.6Lターボで200psというスポーティなスペックで売り込んだのだけど、その後に続いた他社モデルはコンパクトカーの亜種として、BセグSUVを高齢者や女性向けのクルマにしてしまった。
特別モデルにはGTRのVR38DETTを搭載するなどジュークの理想は高かったけど、一巡して日産はすっかりマイルドになった「女性&高齢者」仕様にしてしまった。ジュークの欧州市場での活躍など知らないユーザーにとっては何も気にならないだろうけど、世界を何度も変えてきた日産なのに、なんだか「小さく」落ち着いてしまったモデルなのが残念。それでもTHSと互角に渡り合えてドライビングも楽しいe-POWERが組み合わされて、やはり他社ユーザーが無視できない圧倒的な競争力を持つクルマではある。しかし10年前のジュークやアクアのデザインに比べてどうだろうか!?どうも細部のディテールにこだわった形跡が見えない。「小型車は本来の日産ではない!!」・・・そんなプライドが透けて見える出来栄え。