見事なまでの失敗例
クルマの作り込みってのももちろん大事だけど、買う側の心理をうまくくすぐってくれる「枠組み」もまた同じくらいに大事だ。ルイヴィトン、エルメスだったり、ベントレーやマセラティが縁もゆかりもない日本のユーザーを惹きつけるのは、やはり「枠組み」の力としか説明できない。ユーザーに優越感を存分に感じてもらえる舞台装置。差別化できるだけのストーリーに満ちた商品。冒頭にも書いたけど、福野さんのいう通りメルセデスは、ブランド内に違和感しかないモデルを大々的に展開した結果、これまである程度は上手くいっていた名門ブランドとしての「枠組み」があっさりと崩壊した。同じくBMWもFFモデルをじわじわと増やすたびに、そのクルマづくりへの求心力が失われている(カーメディアはすっかり白けきっている)。
セダン不人気の理由は・・・
レクサスが日本に上陸して「枠組み」が変化した結果、クラウンやマークXは消える運命となった。セダンの不人気が取りざたされるが、トヨタだけでなく、日産やホンダもコンパクトカーやミニバン中心のラインナップへと「枠組み」が変化する中で、あれだけ人気があったセダンが大きく霞んでしまった。それでも良質で安全なセダンを望むユーザーは少なくないわけで、マセラティ・クワトロポルテやメルセデスCLS、MAZDAアテンザなど「枠組み」がまともだったブランドでは、セダン不遇の時代と言われる中で予想以上の販売を積み重ねている。日本の大手3社やメルセデス、BMWが大いに道を誤る中で、ぜひ今後のMAZDAには、ユーザーをワクワクさせる的確な「枠組み」づくりを期待したい。