社長も自社開発を諦めた!?
ミニバンの一部には今もTNGA以前の旧型シャシーが使われているけども、トヨタブランドのほぼ全てのモデルが、「それは本当にトヨタ車ですか!?」と疑問に感じてしまうモデルで埋め尽くされつつある。そんな中で国内の普通乗用車シェアは50%を超える水準に達し、過去最高とも言える巨額の営業利益を計上している。皮肉な言い方だけど、トヨタがクルマを作らなくなればなるほどに、トヨタブランドの裾野が広がり、多くのユーザーを獲得している。ダイハツ、スバル、BMWからのOEMモデルや、MAZDAやホンダの設計を堂々とコピーしたTNGAモデルによって、これまで輸入車ばかり乗ってきた層も取り込んでしまっている。その一方でトヨタが自ら作ったモデルに関しては・・・厳しい言い方だけど、見事なまでに失敗を積み重ねている。
クラウンとともにトヨタは終わる
何を勘違いしたのか、クラウンまでもドイツブランドのFRモデルや、横置きTNGA車のようなスポーティなアシで、時に跳ね上がるような挙動すら出るクルマにしてしまった。トヨタの市場分析によれば、この乗り味こそがさらなる他社ユーザーの受け皿となるはずだったが、なぜかトヨタ単独で行うとうまくいかない。BMWの設計だからお買い得だと感じてスープラを買った人もいるだろうし、同じく低重心なボクサーエンジンが搭載されているから86を買った人もいるだろう。ダイナミックフォースエンジンにホンダのような吹け上がりを期待してRAV4やヤリスクロスを買った人も多いはず。そして私も実家の母親に対して「MAZDAに近い爽やかな乗り味」を理由にカローラツーリングを勧めてしまった。トヨタは最初から計算済みだったのだろう。そしてクラウンを再び復活させることなく終焉させる決断は、トヨタによる自動車開発の幕引きを意味していると言わざるを得ない。クロカンメーカーとしてのトヨタは残るかもしれないが・・・。