「オーテック」の意味
300万円をはるかに超えてくる価格のクルマを売るには、ユーザーに訴求できる何らかの「記号的価値」が必要になってくる。新型エクストレイルも日本導入と同時に「オーテック」版が発売されている。先代エクストレイルでは358万円から設定されていた「オーテック」だけど、新型では420万円がスタートラインになる。
ベース車から100万円ほど高い。先代のオーテックは専用のシート、ホイールだけでなく、ベース車とは異なるザックス製ショックアブソーバーが配備されていた。新型エクストレイルでは、ベース車にも高性能なショックアブソーバーが用意されているようで、特段に変更はないようだ。新型ではベース車でも十分に良い走りを狙ってきた。
福岡県苅田町の工場でセレナとともに生産されるエクストレイルは、先代からルノー日産のコモンアーキテクチャー(汎用シャシー)を使う個性の乏しいモデルになった。栃木工場がフラッグシップ級の高級車、追浜工場が1軍(ノート、オーラ、リーフ)、日産九州とタイ工場が2軍といったヒエラルキーが感じられる。
いつの間にかウイングロード、ティアナ、シルフィなどが廃止され、少数精鋭となった日産の国内ラインナップでは、「輸入車道楽」を諦めたバブル世代の受け皿になれるのがエクストレイルくらいだったりする。しかし汎用シャシーの無個性モデルではメルセデスやBMWからのユーザーは満足できないのだろう。