日産&ホンダの価値
MAZDA好きがBMW、VW、アウディのフィールに納得できるのだから、その逆もしばしば成り立つだろう。輸入車からの乗り換え需要は、MAZDAディーラーの心の支えらしい。上にも書いたがMAZDAの社員が自書の中で「マスを追うクルマ作りはMAZDAの敵ではない」の意味は、台数を稼ぎに行くようになったBMWやアウディに対して、MAZDAのクオリティを見せつけることはぜんぜん難しくないらしい。
無印のエクストレイルやフィットでは、フィールにうるさいクルマ好きを納得させることは難しいだろう。どちらも2000年頃に新しい世界戦略車として日産とホンダが生み出したモデルであり、1980年代に欧州のグランドツアラーを目指して作られたプレリュードやプリメーラとは根本的に違う。カーライフの多様性を目指して、欧州市場にSUVブームやコンパクトカーブームを引き起こした。
ブランドを代表するモデルに成長したエクストレイルやフィットを、強引にクルマ好きに受け入れさせる切り札として「エクストレイル・オーテック」や「フィット・モデューロX」が設定されている。BMWやMAZDAがブランド全体で貫徹している走りに見劣りしないクルマ作りと言ってしまえばそれまでだ。
MAZDAに「オーテック」や「モデューロX」が存在しないのは、2000年以降のクルマ作りで幾多のヒット車を生み出しているが、「軌道修正」を必要とするほど大きな冒険はしていないからだろう。走りにこだわるファンを裏切らないMAZDAも素晴らしいが、日産やホンダのクリエイティブな姿勢も大いに評価されるべきだと思う。