それは欠点なのか!?
トルク容量が大きくできて、スーパースポーツのハイエンドなエンジンにも対応でき、変速速度も上げられるという意味でDCTは安易に否定できない。ゴルフGTIのように200psを超えるくらいのガソリンターボだと、ミッションの不始末がエンジンパワーで覆い隠されてそれほど悪いミッションには感じない。
一般的に速度域が高く、変速の頻度が日本の都市部ほど多くない欧州市場においてはCVTは全く受け入れられずにMTとDCTが主流なのだから、DCTは欧州車の証とも言える。「フォルクスワーゲンやルノーなどのメインストリームブランドならまだしも、欧州プレミアムブランドならトルコンATだろ」という意見もあるが、優劣はそう簡単には決まらない。自動ミッションはその構造ではなく、改良に注がれた熱量も大事だ。
「ミッション教」
メルセデス(縦置き)、MAZDA、スバルなど、内製もしくはサプライヤーと二人三脚で長年の研鑽を積んできたメーカーのミッションにおける優位はなかなか崩れない。中国政府に「ゴミ」と言われた欧州式DCTと、PSAやボルボ(吉利汽車)など中国系ブランドが積極採用するようになったアイシンAW製トルコンATが、日本市場でも鍔迫り合いをしているが、どちらも熟成の域に達しているメーカーのミッションにはハッキリ見劣りする。
どんなヘタクソが乗っても耐摩耗という意味で耐久性に自信があるトルコンATと、地方在住で日常的に渋滞とは無縁のカーライフならば、燃費がかなり良くなるDCTの対峙なので、一義的に優劣を論じることはできない。ユーザーの使い方や地域の道路事情によって結果は変わる。