「貸すクルマ」と「売るクルマ」
東京都の周辺ではカーシェアが目覚ましい伸びを示している。特に学生には低価格で提供し回転率を上げているようで、深夜の環八を走れば「TIMES」の黄色いマークでデザインが破綻したMAZDA3やCX-30を毎回見かける。MAZDAにしてはスペックにこだわっていない第七世代の「スモールプラットフォーム」は、最初から「買うクルマ」ではなく「シェアカー」としての展開を考えていたのだろうか。
CX-60に使われる「ラージプラットフォーム」は真逆の発想で徹底的にスペックにこだわり抜いている。最初の設計段階から、エンジン車なのかBEVなのかで市場が混沌とすることを予測した上で、「買ってもらえるクルマ」を意図したのだろう。レンジローバーもSUV全盛の中で、そのヒエラルキーの頂点に位置するハイスペックで革新的デザイン(テスラを追い越した未来?)のクルマを目一杯努力して作っている。
熱量の違い
メルセデス、BMW、ポルシェ(アウディ)などの強力なプレミアムドイツブランドが伸び悩みする状況で、やはりSUV専業ブランドは強い。同じ境遇のジープ・グランドチェロキーも日々進化を見せているけど、やはりレンジローバーに注がれる創造性には光るものがある。
混沌な時代であっても、最良のカーライフ、最良のグランドツーリングを求めるユーザーの期待に目一杯応える「進化」という意味でCX-60とレンジローバーは「10ベストカー(11台選出)」の他の9台を引き離していると思う。フェアレディZやシビックtypeRは数年後には高値で売れるとの見方があり、投機筋ありきの商品化の側面がハッキリ出てしまっている。