SUVは許されない!?
アルファロメオ初のSUVだったステルヴィオだけど、自動車大国の日本市場ではやや消化不良だった。このブランドが日本で大人気だった頃の156、147、GT、ブレラなどは今でもたまに見かけるが、これらのクルマに歓喜してきたファンにとっては、日本やドイツの営利主義メーカーがせっせと作って稼いでいる印象のSUVなどは、ドライビングマシンとしては認識されていないのかもしれない。
ガチのドライビングカー派とは違う、新規のファンをブランドにもたらすことが期待されていたけど、日本価格は最初からかなり強気だった。高性能なSUVが欲しい人は一足先にSUVでブレークしていたポルシェに殺到した。あのポルシェがスムーズにSUVユーザーを増やして繁盛していたので、同じ「ロード・カー」ブランドであるアルファロメオもちょっと安易にSUV導入を決めたのかもしれない。
タイミングを逸した・・・
ポルシェにしてもコアなファンには「SUVなんて論外(あとパナメーラも)」という人が多い。そんな従来のポルシェ支持層ではなく、例えば「白いレクサス」などに漠然と憧れる「とりあえず高級車好き」な人々が日本市場に多いことを見抜き、ポルシェは上手く釣り上げた。ちょっとマイナーなアルファロメオには真似が難しかった。街中で大量に見かける「白いレクサスのSUV」だけども、失礼ながら運転が下手な人が多い。クルマへのこだわりやマナーが「底辺」なライトユーザーはとにかくブランドに弱い!?
FCA(現ステランティス)が、最初から日本市場にステルヴィオを投入せず、同じシャシーを使っているマセラティ・グレカーレを先に2018年頃に先行させていたら、ポルシェのSUV人気にちょっとした横槍を入れていたかもしれない。東京オリンピック前の株価爆上げの中で高級車市場は活性化していた。2013年に登場したギブリと2016年デビューのレヴァンテによって、プレミアムを超えたハイエンドな乗用車ブランドとして再出発したマセラティだったけど、市場へのマッチングには試行錯誤が続く。