懐古趣味
今から20年くらい前の日本メーカーは、お互いにギスギスした感じがあってそれがクルマ作りに個性を加えていたように思う。賛否両論あったようだけど日産は、2002年に現行のスカイライン、フェアレディZに受け継がれているシャシーを完成させ、その後にR35GT-Rも登場した。2002年に登場したGGアテンザとRX-8はMAZDAのポテンシャルを存分に見せつけた。そして同時期のS2000、CR-Zにはホンダの価値がしっかりと示されていた。
世の中がその手のスポーティなクルマを求めなくなったし、中国市場の急激な成長に振り回されたところもあって、20年前の個性的なスピリッツはどんどん影を潜める。国内市場メインで勝負していた時代なら「トヨタ車とは全然違う!!」と怪気炎を挙げるクルマ作りが自然とハマったのだけど、欧州、北米、中国の各市場では意味不明である。むしろグローバルではトヨタの評価は「世界一」というより「退屈極まりない」の烙印が押されている。
トヨタの喜怒哀楽
クルマ好きの端くれとして、歴代のトヨタ車の中にはいくつもセンセーショナルなモデルがあったことは知っている。他社の真似(イプサム、アルディナ、ウィッシュ、ファンカーゴなど)もするけど、カリーナED(1985)、セルシオ(1989)、ハリアー(1997)などはトヨタの打ち立てた輝かしい金字塔だ。それでもトヨタに真似されると圧倒的な営業力で市場を奪われてしまうので、同業他社は怨みつらみと諦めの境地だったようだ。
トヨタの営業が「他の日本メーカー車はどれもトヨタで売ったら大ヒットする」と言ったとか。つまりは・・・トヨタ以外の日本車はほぼほぼトヨタ車よりも高いクオリティを有しているということだ。確かに、トヨタとBMWの2択だったら個人的には多少は車両価格が高くてもBMWを選びたくなる。しかしトヨタではなく、MAZDAやホンダのモデルと比べるならば、これらにはBMWに求めている走りの味わいが顕在するので、新車価格の高額なBMWをわざわざ選ぶ必要は感じない。