柔軟過ぎるトヨタ
「トヨタ車は退屈だから世界ではあまり人気がない」とは言い切れない。かつては南アフリカ、オーストラリアなど南半球にまで工場を投下し、その国の雇用と引き換えにさまざまな地域でクルマを売ってきた実績がある。スバルやMAZDAが価格的に参入できない低価格の市場さえも果敢に切り開いてきた。欧州市場でも現地に工場を作り、日本仕様とは異なる現地向けのクルマを企画してシェアを確保してきた。
80年代に欧州メーカーを唖然とさせたホンダ・プレリュードや、90年代にBMWやメルセデスのクルマ作りを変えてしまった日産プリメーラのような、破壊的な技術に彩られた恐るべき日本車のイメージは残念ながらトヨタにはない。そして今も昔も日本からはるばる輸出されやってくるスバル、MAZDA、三菱のような「オリエンタルな個性」で欧州などから求められている訳でもない(86という群馬の工場から輸出しているスポーツカーは別)。
トヨタには無い味わい
2000年以降に免許を取ってクルマに乗るようになったアラフォーからして見れば、オデッセイやアコードユーロRのホンダや、スカイライン、フーガフェアレディZ、GT-Rの日産や、アテンザ、RX-8のMAZDAに対して、この時期にセルシオやアリストがレクサスブランドに移行したトヨタに対しては、ちょっと複雑な想いを感じている。欧州仕様とは違って日本専用サスのカローラランクスZエアロは、コストが抑えられていて良いクルマではあったが・・・。
2012年にトヨタからMAZDA(第五世代最終モデル)に乗り換えた時に衝撃を受けた。以前からMAZDAの評判は聞いてはいたが、欧州車に近い乗り味の意味が良くわかった。トヨタではあり得ないような「路面からの突き上げ」「強烈なブレーキ」タイトなブレーキングが可能なのでコーナーに減速して突っ込むと盛大にABSの振動がハンドルとペダルから伝わってくる。トヨタに何年も乗っていて1度も経験したことない挙動ばかり。