わかりやすいクルマ作り
トヨタのTHS搭載モデルはカローラやプリウスなどCセグ以上のモデルにおいては、燃費とともに静粛性においても下位の非HEVグレードとは別格である。日産もBセグのノートe-POWERは価格を抑えた普及モデルとしてヒットしたけども、Cセグ以上のモデルでは新たにe-POWERのみで登場したエクストレイルの静粛性は凄まじく、トヨタのCセグ以上に位置するハリアーやRAV4のTHSモデルを超えている。
同じ車格ならトヨタよりも確実に良いクルマであることが、他の日本メーカーが最低限達成しなければいけない条件だろう。特にCセグ以上のモデルだと、それなりの価格になるので、対峙するトヨタ車を「わかりやすく」超える必要があるし、それができなければ日本市場に投入する意義はない。日産としても初代エルグランドやステージアのような縦置きシャシーの上質さが売りのユーティリティモデルでは、なかなか勝負がしづらいのだろう。
最大手が作るスタンダード
トヨタのCセグ以上がダメってことは全然ない。サントリー「角瓶」をずっと飲んでいたいって人もたくさんいるだろう。家で飲むには「角瓶」と同じ価格でさらに味わい深いウイスキーはいくらでもある。しかしサントリーが業務用の「角瓶」4Lパッケージを飲食店に卸しているため、全国の飲食店で期待を裏切らない「角ハイボール」が提供され、コンビニやスーパーに缶入りの「角ハイボール」が並び、完全にスタンダードになってしまった。
サントリーという資本フォーマットが「角瓶」というスタンダードを作り上げたように、トヨタの販売網が「カローラ」「ハリアー」を良質な日本車の定番に押し上げた。それに対してホンダ・シビック、日産エクストレイル、MAZDA3は、「日本車の基準」としては、やや作り込み過ぎかもしれない。どのモデルもトヨタの営業マンに言わせれば、トヨタで売れば全部大ヒット間違いなしの水準にある。